Crowley,
Aleister アレイスター・クロウリー (1875-1947) 魔法名 Perdurabo (G.D.) Master Therion (A.A.) Baphomet (O.T.O.) ☆ 20世紀最大と称される英国の魔術師。自ら黙示録の「獣666」を名乗り、麻薬や性などの領域に於ける魔術研究に生涯を費やす。登山家にして詩人。東洋通としても知られ、ヨガを西洋魔術に導入するなど、幅広い活動を行う。「汝の意志するところを行え。これこそ<法>のすべてとならん」を金言とするテレマ主義を唱え、新時代の預言者を自任する。その過激な魔術活動は良きにつけ悪しきにつけあらゆる魔術師に影響を与えている。 左はフリーダ・ハリスが描いた晩年のクロウリー |
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略歴 |
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1875年 | 10月 | 12日夜半、ウォリックシャーのレミントンにて出生。 | |
1898年 | ケンブリッジ大学トリニティー・カレッジ中退。 | ||
11月 | 18日、「黄金の夜明け」団イシス・ウラニアテンプル参入、団 内ではアラン・ベネットとマグレガー・マサースに師事。 | ||
1900年 | 04月 | 団分裂の際にマサースに加担して追放される。 | |
06月 | 世界一周旅行を開始、アメリカ→メキシコ→ハワイ→日本→香港と流れてセイロンにたどりつき、同地で仏教徒と化していたベネットからヨガを学ぶ。 | ||
1902年 | 07月 | カラコルム・K2遠征。登攀は失敗に終わるも以前の記録を塗り替える。 |
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1903年 | 08月 | ローズ・ケリーと結婚。世界一周ハネムーンに旅立つ。 | |
1904年 | 04月 | 8ー10日、エジプトのカイロにて霊界通信文書『法の書』 The Book of the Lawを授かる。クロウリーの守護天使にして《秘密 の首領》アイワスが口述したとされるこの書物 により、いわゆる《テレマ主義》が誕生する。 | |
1905年 | 08月 | ヒマラヤ・カンチェンジュンガ遠征。世界初の本格的挑戦であったが雪崩のために4名死亡、失敗に終わる。 | |
1907年 | 魔術結社A.A.(Argenteum Astrum = 「銀の星」)を創立。当初、団員はクロウリーとG.C.ジョーンズの二人のみ。 | ||
1909年 | 03月 | A.A.の機関誌『春秋分点』The Equinoxを発行。この時点からA.A.が公的活動を開始する。誌上で『黄金の夜明け』団の儀式を公開して業界を混乱に陥れる。 | |
11月 | 24日、ローズと離婚。公的理由はクロウリーの姦通であり、娘ローラ・ザザに対する親権はローズのものとなる。養育費として年額104ポンドを支払い続ける義務が生じ、この目的で信託基金を設ける。 |
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1910年 | 03月 | 『春秋分点』第3号発行直前に、マサースが儀式の著作権を主張して発行差し止めを裁判所に申し立てるが、却下される。 | |
10月 | 「エレウシスの儀式」を劇場公開。 | ||
1911年 | 04月 | G.C.ジョーンズが「エレウシス」報道をめぐって新聞を名誉毀損で告訴。マサース等が証人となって珍妙な裁判が繰り広げられる。 | |
10月 | メアリー・デステ・スタージスと出会い、手に手を取ってスイスに遊びにいく。 | ||
1912年 | この頃、O.T.O.の首領テオドール・ロイスと接触。これにより性魔術に興味を抱き、数々の実験を行う。O.T.O.の英国支部長に任じられる。 | ||
1913年 | 09月 | 『春秋分点』第10号発行、これをもって同機関誌の第一期終了。 | |
1914年 | 01月 | ヴィクター・ニューバーグをパートナーに性魔術実験《パリ活動》を行う。 | |
10月 | 渡米。建前はO.T.O.普及であるが、実情は夜逃げ。滞米中は反英国的アイルランド人の振りをして親独プロパガンダを展開する。一次大戦のために帰るに帰れず、無為の日々を送る。 | ||
1919年 | 12月 | 英国に帰還。 | |
1920年 | 04月 | シシリー島セファルーに魔術道場《テレマ僧院》を開く。世界各国から入門者が到着する。 | |
1923年 | 02月 | 《僧院》内でラウル・ラヴディ腸チフスのために死亡。 | |
05月 | ムッソリーニ統治下のイタリア当局より、クロウリーに国外退去命令。一時的にチュニスに出る。この頃、英国の大衆紙がクロウリーに対して攻撃に終始、結果として「世界最大悪人」というイメージが一般に定着する。 | ||
1924年 | 01月 | 北アフリカを転々とした後、パリに向かう。 | |
1925年 | 夏、前年に死去したテオドール・ロイスの遺言により、O.T.O.全派の総帥に指名される。 | ||
1928年 | 01月 | ジェラルド・ヨークがA.A.に参入。 | |
10月 | イスラエル・リガルディーが無償の秘書となる。 | ||
1929年 | 03月 | クロウリー、リガルディー、及び当時のクロウリーの情婦であるマリア・テレサ・ド・ミラマールに対してフランス当局より国外退去命令。クロウリーは英国に帰還。 | |
04月 | 『魔術−理論と実践』Magick in Theory and Practiceが出版される。 | ||
08月 | ドイツに於いてド・ミラマールと結婚。彼女に英国籍を与えて英国への入国許可を得させるのが目的。1年と経たずに離婚。 | ||
1934年 | 04月 | 旧友ニーナ・ハムネットを名誉毀損で告訴、 敗訴に終わる。 | |
1939年 | 04月 | フリーダ・ハリスとともにタロー・カードの製作を開始する。 | |
1944年 | 『トートの書』The Book of Thothが出版される。 | ||
1947年 | 12月 | 1日、アレイスター・クロウリー、ヘイスティングスにて死亡。死因は心筋退化及び慢性気管支炎。 | |
12月 | 5日、葬儀の後、ブライトン公共墓地に埋葬される。 |
主要著作 | Book Four, Weiland & Co., London, 1911.: Sangreal Foundation,
Dallas, Texas, 1972.:『神秘主義と魔術』島弘之訳、国書刊 行会、1986年。 The Book of the Law、Church of Thelema, Pasadena, 1926.: 93 Publishing, Quebec, 1975.:『法の書』島弘之訳、国書刊行会、昭和58年。 The Book of the Lies, Weiland & Co., London, 1913.: Weiser, New York, 1970. The Book of Thoth, O.T.O., London, 1944.: Weiser, New York, 1969.:『トートの書』黒瀬隆功訳、国書刊行会 、1991年。 The Collected Works of Aleister Crowley, S.P.R.T., Foyers, 1905.: Yogi Publication Society, Illinois, no date(1973). The Confessions of Aleister Crowley, Mandrake Press, London, 1929.: RKP, London, 1979. Diary of a Drug Fiend, Collins & Co., London, 1922.: Weiser, York Beach, Maine, 1985.:『麻薬常用者の日記』植松靖夫訳、 国書刊行会、1987年。 The Equinox vol.I no.1-10, privately, London, 1909-13.:Weiser, New York, 1974. The Equinox vol.III no.1, The Universal Publishing Co., Detroit, 1911.: Weiser, New York, 1972. The Magical Diary of Aleister Crowley, Neville Speaman, London, 1979.: 『アレイスター・クロウリーの魔術日記』、江口之隆訳、国書刊行会、1998年。 The Magical Record of the Beast 666, Duckworth, London, 1972. The Magick in Theory and Practice, Lecram, Paris,1929.: Castle Books, New York, 1965.: Magick, RKP, 1973.: 『魔術− 理論と実践』上下巻、島弘之他訳、国書刊行会、1983年。 Moonchild, Mandrake Press, London, 1929.: Sphere, London, 1972.:『ムーンチャイルド』、江口之隆訳、創元推理文庫、1990年。 777, Walter Scot Publishing Co., 1909.: 777 Revised, Neptune Press, London, 1951.: The Qabalah of Aleister Crowley, Weiser, New York, 1973.:『図解777増補改訂版』江口之隆訳、国書刊行会、1992年。 The Vision and the Voice, Sagreal Foundation, Dallas, Texas, 1972.:『霊視と幻聴』飯野友幸訳、国書刊行会、1988年。 『黒魔術の娘』江口之隆訳、創元推理文庫、1991年。(『春秋分点』誌第1巻からの短編小説アンソロジー) |
参考文献 | Cammell, Richard: Aleister Crowley, Richards, London, 1951. Grant, Kenneth: Aleister Crowley and the Hidden God, Muller, London, 1973.:『クロウリーと甦る秘神』植松靖夫訳、国書刊行会、1987年。 Hutchinson, Roger: Aleister Crowley, The Beast Demystified, Mainstream Publishing, 2000. Kaczynski, Richard: Perdurabo, The Life of Aleister Crowley, New Falcon, Tempe, AZ, 2002. King, Francis:The Magical World of Aleister Crowley, Weidenfeld and Nicolson, London, 1977.:『アレイスター・クロウリーの魔術世界』山岸映自訳、国書刊行会、1987年。 Regardie, Israel:The Eye in the Triangle, Llewellyn, St Paul, Minnesota, 1971. Richmond, Keith: Progradior and the Beast, Frank Bennet and Aleister Crowley, Neptune Press, London, 2004. Roberts, Susan:The Magician of the Golden Dawn, CBI, Chicago、 Illinois, 1978. Robertson, Sandy: The Aleister Crowley Scrapbook, Quantum, Berkshire, 2002. Stephensen, P.R.: The Legend of Aleister Crowley, Mandrake Press, London, 1930.:Llewellyn, St Paul, Minnesota, 1970. Suster, Gerald: Legacy of Beast, The Life, Work and Influence of Aleister Crowley, Weiser, YorkBeach, 1989. Sutin, Lawrence: Do What Thou Wilt, A Life of Aleister Crowley, St Martin's Griffin, New York, 2000. Symonds, John: The Great Beast, Rider, London, 1951.: Macdonald, London, 1971. Wilson, Colin: Aleister Crowley, The Nature of Beast, Aquarian Press, 1987. |