Harris, Lady Frieda (nee, Bloxam) レディー・フリーダ・ハリス (1877-1962) 魔法名 Tzaba (A.A.) ☆ クロウリーのトート・タローを描いた画家。 1937年後半にクロウリーと出会い、魔術を学ぶ。実生活に於いては自由党院内総務パーシー・ハリス卿の令夫人であったため、彼女に関する伝記的資料は極めて限られている。クロウリーの伝記作家たちが、当時存命中の上流婦人の名誉その他を考慮して筆を押さえたからである1。フリーダ自身も公的に自分を語ることをせず、かのトート・タローの画家として知られることのみを望んでいた。もともとオカルト方面には大いに興味があったらしく、共同メーソン(女性の参入を認める神智学系組織)の熱心な会員でもあったという。 フリーダは1938年からクロウリーと協同してタローの製作に取り掛かっている。この作業のおもしろい点は、表面的にはクロウリーの指導の下でフリーダが絵を描くという体裁をとってはいるが、実際はフリーダがクロウリーを監修者として金銭で雇用している面があるという点である。1941年にとりあえず完成したタロットの展示会を催した際も、クロウリーは名前を出してもらえず、また展示会場に顔を出すなとフリーダに釘をさされる始末であった。 ともあれトート・タロット作製は丸5年を要する大仕事になってしまい、完成は1944年になってしまっている。フリーダのタローとクロウリーの解説書は、クロウリーの生涯に於いてもっとも成功した作品となった。 現在、トート・タローの原画はロンドン大学コートールド研究所に厳重に保管されている。 1. 1935年以降のクロウリーに関しては謎だらけである。その主たる理由は一重に関係者多数が存命中であるため、シモンズ、キング等が口を閉ざす部分が多いからである。例えば、シモンズのクロウリー伝『大いなる獣』に於いても、1951年の初版では多数の仮名、偽名が用いられているし、キングの著作では微妙なぼかしが常に使用されている。 |
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主要著作 | |
参考文献 | DuQuette, Lon Milo, Understanding Aleister Crowley's Thoth Tarot, Weiser, York Beach, 2003. Decker, Ronald and Dummett, Michael, A History of Occult Tarot, Duckworth, London, 2002. and Crowleyana generally. |
関連ファイル | 1941年トート・タロット展示会カタログ |
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