IMPRESSIONS, OR CASTS, FROM WORKS OF NIELLO, IN SULPHUR



 このカタログのまえがきにおいて、硫黄印像を嵌め込んだ厚板の件に触れている。この印像は22枚あり、フィニグエラ作と思われるニエロからフィニグエラ研究者の助力を得て採取したものである。以下、17、18、19として分類する11枚はそれの一部である。しかしオリジナルの11枚中、8枚にはなんらかの損傷があり、ゆえに修復処置を施している。ゆえにそこから採取した印像は、オリジナルの卓越性を忠実に伝えるものではないとお断りしておく必要があるであろう。

 22枚の硫黄板を嵌め込んだこの貴重な厚板は数年まえにウッドバーン氏によってわが国に持ち込まれている。硫黄板は以下の順番で並べられいた。最上段は以下の如し。(1)「アダムの創造」。(2)「イブの創造」。(3)「禁断の果実を食べるアダムとイブ」。(4)「楽園を追われるアダムとイブ」。(5){大地を耕すアダム」。(6)「生贄を捧げるカインとアベル」。(7)「アベルを殺すカイン」。(8)「座して会話する三聖人」。
 下二段には「キリストの受難」連作が以下の順番で並んでいた。一段目(1)「使徒たちの足を洗うキリスト」。(2)「最後の晩餐」。(3)「ゲッセマネの園で祈るキリスト」。(4)「ゲッセマネの園にて捕縛されるキリスト」。(5)「ピラトのまえに引き出されるキリスト」。(6)「鞭打たれるキリスト」。(7)「十字架を背負うキリスト」。二段目(8)「磔刑」。(9)「マリアと他の弟子たちに弔われるキリストの遺骸」。(10)「キリストの昇天」(不自然にも「復活」のかわりにここに配されている)。(11)「煉獄から長老たちを解き放つキリスト。(12)「キリストの復活」。(13)「ペンテコステ」。(14)「最後の審判」。

 ウッドバーン氏は硫黄印像を現状のままでサー・M・M・サイクスに譲渡している。ただし「座して会話する三聖人」は、原版の外見も価値も損なうことなく外せると判断された。ゆえにサー・マークのコレクションには21枚しか収められていない。1824年夏、サー・マークの資産が売りに出された際、購入者の便宜を図って硫黄板を六つのロットに分けるほうが賢明であると判断された。そこで硫黄版を嵌め込んだ厚板は鋸で六つに切断されたのであるが、幸いそのことによって、硫黄板がもともとあった傷以上に損なわれることはなかった。保存状態が完璧であったものと、多少なりとも傷があったものを区別して紹介するほうが適切であろう。売りたて目録にある詳細は以下の如し。当方の手で購入者の名前も加えてある。



17a アダムの創造 original size 47*27mm.
17b イブの創造 orijginal size 47*27mm.
17c 禁断の果実を食べるアダムとイブ original size 23*27mm.
17d 楽園を追われるアダムとイヴ original size 47*27mm.
18a 大地を耕すアダム original size 45*27mm。
18b 生贄を捧げるカインとアベル original size 47*27mm.
18c アベルを殺すカイン original size 44*30mm.
19a ゲッセマネの園にて捕縛されるキリス ト original size 58*40mm.
19b ピラトのまえに引き出されるキリスト original size 58*40mm.
19c 煉獄より長老たちを解き放つキリスト original size 58*40mm.
19d キリストの復活、および墓所を訪れるマリアたち original size 58*40mm.



図版17,18,19。(ロット1230)。この箱には以下の連作が収められていた。「アダムの創造」、アダムの上半身、全能主の一部を修復。「禁断の果実を食べるアダムとイブ」、アダムの全身を修復。「楽園を追われるアダムとイブ」、両名の下半身と胴体の一部、および天使の左腕を修復。「大地を耕すアダム」、ほぼ全体を修復。「生贄をささげるカインとアベル」、ほぼ完品。「アベルを殺すカイン」、カインの胴体の一部と背景の一部を修復。

 このロットはサミュエル・ウッドバーン氏が38ポンド17シリングにて購入。7点ともオリジナルと同寸にて本書の図版17、18に収録している。

 (ロット1231)。「使徒たちの足を洗うキリスト」、完品。「最後の晩餐」、完品。「磔刑」、完品。「マリアと他の弟子たちに弔われるキリストの遺骸」、これも完品。トマス・ウィルソン氏が173ポンド5シリングにて購入。

 (ロット1232)。「ゲッセマネの園にt祈るキリスト」、キリストの頭部にわずかな傷があることを除き、ほぼ完品。このカタログの筆者が36ポンド15シリングにて購入。

 (ロット1233)。「キリストの昇天」、完品。大英博物館代理人が69ポンド6シリングにて購入。

 (ロット1234)。「ゲッセマネの園にて捕縛されるキリスト」、キリストとユダの上半身および中央部の一部に修復。「ピラトの前に引き出されるキリスト」、キリストの頭部と上半身、およびピラトと家来たちの上半身を修復。「煉獄より長老たちを解放するキリスト」、完品。「キリストの復活、および墓所を訪れるマリアたち」、完品。
 このロットはウッドバーン氏が126ポンドにて購入。氏の許可を得て四点のコピーを図版19として本書に収録している。墓所を訪れるマリアたちの図は非常に美しい。

 (ロット1235)。「鞭打たれるキリスト」、背景の些細な部分に傷があるだけで、ほぼ完品。「十字架を背負うキリスト」、キリストの頭部およびキリストを導く従者の頭部を修復。「ペンテコステ」、完品。「最後の審判」も完品。筆者が150ポンドにて購入。



図版 1-16 図版 17-19 図版 20-26 図版 27-42 図版 43-89 図版 90-104 図版 105-117


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