Spedalieri, Nicolas-Joseph
スペダリエリ男爵 (1812-?)


☆ エリファス・レヴィの弟子であり、レヴィと英国を結ぶ一つの環。

 1812年、シシリーの門閥に生まれ、十代にして隠秘学や神秘主義に興味を抱き、サン・マルタンなどを読み漁り、その種の結社に入会する。
 三十代でパリに出て来ており、1861年、レヴィの『高等魔術の教理と祭儀』を読んでレヴィと文通を始め、弟子になる。
 その後、1871年に妻の死で信仰に疑念を抱くようになり、レヴィと袂を分かつ。レヴィはなんとかスペダリエリを引き留めようとしたが、徒労に終わった。
 レヴィの死後、スペダリエリは再び魔術や神秘主義の研究に戻り、大魔術師レヴィの弟子として尊敬を受けつつ、内外の研究者と文通しながら悠々自適の隠居生活を送っている。
 1884年、スペダリエリはアンナ・キングスフォードの著作に接して感銘を受け、彼女にファンレターを出している。
 以後四年間、両者の間で文通が続き、1887年には、キングスフォードがマルセイユのスペダリエリを訪問しており、この際に彼からレヴィの未発表原稿や蔵書をプレゼントされている
1。この原稿が最終的に「黄金の夜明け」団の創立者ウェストコットの手に落ち、The Magical Ritual of Santum Regnum として発表された。

 スペダリエリの没年は不明であるが、彼がレヴィと交わした書簡集
2が神智学協会の機関誌に連載された1895年の時点ではまだ存命中であった。


1. Edward Maitland, Life of Anna Kingsford (London: Watkins, 1913)vol.II., p.302.
2. 現在では、Eliphas Levi, Letters to a Disciple (Wellingborough:Aquarian,1980)として一冊にまとめられている。

主要著作
参考文献


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