Guazzo, Francesco-Maria
フランチェスコ・マリア・グァッゾ

☆ 16世紀後半から17世紀にかけて生存したイタリアの修道士。これ以外の詳細は一切不明。1608年にミラノの司教の要請で魔女狩り用のテキストブック『コンペンディウム・マレフィカルム』(「魔女狩りの手引き」程度の意)を書き、後世に名を残す。

 グァッゾの書物はデル・リオやレミの魔女狩り本の系列に並ぶもので、あらゆる資料を用いて悪魔の陰謀と魔女の加担を例証しようというものである。彼の書は刊行後、この方面の権威書として数々の魔女裁判に影響を与えている。

 我々日本の研究者にとってはグァッゾの書は特別の意味を有している。彼は悪魔憑きを例証するに当たってたびたび日本の話を持ち出しており、例えば、豊後府内の狐憑きの話などが堂々と引用されている
1。これはどういうことかと言うと、安土桃山時代に渡来した宣教師たち、特にルイス・フロイスやサビエルが本国に書き送った『日本書簡集』から狐憑きの話を引用しているのである。イエズス会士であったザビエルが、日本で布教するにあたって「悪魔祓い」を武器に日本土着の霊たちと戦ったというのだから、興味は尽きないところだろう。しかし、グァッゾの記述のために命を落とした不幸な魔女容疑者も多かったわけだから、考えてみればザビエルもフロイスも罪が深い。

1. See, Guazzo, Compendium Maleficarum (London: John Rodker, 1929) pp.151 ff., p.184., pp.192 ff.

主要著作

Compendium Maleficarum, Milan, 1608.: Eng.tr. Montague Summers, John Rodker, London, 1929.: Muller, London, 1970.: Barnes & Noble, New York, 1970.

参考文献
関連ファイル コンペンディウム・マレフィカルム 第一書六章
コンペンディウム・マレフィカルム 第三書七章



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