Del Rio, Martin Antoine
マルタン・アントワン・デル・リオ
(1551-1608)


☆ イエズス会の神学者、魔女学者。16世紀末にたちの悪い魔女研究書を発表して魔女狩りの理論的支援を行っている。

 ベルギーのアントワープに生まれ、幼少時より学業優秀、長じては役人としてエリートコースを歩んでいたが、29歳にして信仰に目覚めてイエズス会に入る。以後の人生をすべてイエズス会で費やし、多数の神学的著述をなしているが、彼の名前を今に残しているのは『魔術講論六篇』という魔女術研究書である。
 デル・リオの書は魔術、魔女術、呪術に占術と、あらゆるものを俎上に置いて検討を加え、魔女裁判の判事たちに真偽の見分け方と正しい手続きを教えるというものであり、当時のベストセラーとなっている。この書の怖いところは、プロテスタントにも受けいれられて、あらゆる国の魔女裁判で有力な典拠とされた点である。

 デル・リオ自身は他の魔女学者と同様、静かなる神学者としてブリュッセルで生涯を終えている。


主要著作 Disquisitionum Magicarum Libri Sex, Louvain, 1599.: Les Conroverses et recherches magiques de Martin Del Rio, French tr. Andr Duchesne, Paris, 1611.: Investigation into Magic, P.G.Maxwell-Stuart ed., Manchester University Press, Manchester, 2000.
参考文献


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