Poppins, Mary
メアリー・ポピンズ
(c.3520 B.C.,Nov. 1st - )1


☆ エドワード朝のロンドンに突然出現した魔法を使う乳母。桜通り17番地のジョージ・バンクス家に住み込み、子供たちを躾け、家庭内に安寧秩序をもたらす。

 彼女の魔法は多岐に渡るもので、階段の手擦りを滑り上がり、絵の中に自在に出入りし、鳥獣の言語を解し、コンパスを用いて世界中を一瞬の内に移動する。彼女のいるところでは、常に様々な不思議が巻き起こるが、メアリー・ポピンズ本人は決してそれを認めようとはせず、沈黙を守る。 大変なおしゃれで、花飾りのついた帽子を好み、おうむの柄の傘と絨毯製の鞄が自慢の品である。髪は黒、瞳は青。外出日にはボーイフレンドのマッチ売りバート・アルフレッドとデートを楽しむ。
 バンクス家に三度の訪問をなした後、「扉をあけて」行ってしまい、現在まで音信不通である。別の世界で乳母に従事していると考えられているが、詳細は不明。

 メアリー・ポピンズは文学に登場する魔法使いの一方の理想像である。作者のP.L.TraversがイェイツAEの弟子筋にあたる人物であり、かつ禅やグルジェフに傾倒しているため、ややもするとモデル探しが取り沙汰されるが、メアリー・ポピンズの正体はやはりメアリー・ポピンズであるという見解が一番正しい。

 写真はパフィン版の『メアリー・ポピンズ』。

1. メアリー・ポピンズの生年月日の算出法は簡単である。彼女のいとこのトイグリーさんがメトセラの祖父であるから、血統的には彼女はマハラエルの姪となる。聖書年代逆算法によれば、アダムの誕生が紀元前4004年となるから、後はセツ、エノス、カイナン、マハラエル、ヤレドと、年令を引き算すればよい。彼女の誕生日が11月1日であることは誰でも知っている。

主要著作
参考文献 Mary Poppins, Harcourt Brace Jovanovich, London, 1934.: 『風にのってきたメアリー・ポピンズ』林容吉訳、岩波書店、1954年。
Mary Poppins Comes Back, Harcourt Brace Jovanovich, London, 1935.: 『帰ってきたメアリー・ポピンズ』林容 吉訳、岩波書店、1975年。
Mary Poppins Opens the Door, Harcourt Brace Jovanovich, London, 1943.: 『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』林容吉訳、岩波書店、1964年。
Mary Poppins in the Park,Harcourt Brace Jovanovich, London, 1952.: 『公園のメアリー・ポピンズ』林容吉訳、岩波書店、1965年。
Mary Poppins from A to Z,Harcourt Brace Jovanovich, London, 1962.: 『メアリー・ポピンズ AからZ』荒このみ訳、篠崎書林、昭和59年。
Mary Poppins in the Kitchen,Harcourt Brace Jovanovich, London, 1975.: 『メアリー・ポピンズのお料理教室』鈴木佐知子訳、文化出版局、昭和52年。
Mary Poppins in Cherry Tree Lane,Harcourt Brace Jovanovich, London, 1982.: 『さくら通りのメアリー・ポピンズ』荒このみ訳、篠崎書林、昭和58年。
Mary Poppins and the House Next Door, Harcourt Brace Jovanovich, London, 1988.: 『メアリー・ポピンズとお隣さん』荒このみ訳、篠崎書林、平成元年。


*all the works by P.L.Travers.


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