Huysmans, J[oris]-K[arl]
J.-K. ユイスマンス
(1848-1907)


☆ フランスの小役人、作家。1890年代に魔術戦に巻き込まれた件で有名。

 1848年、パリにて出生。長じては内務省の官吏となるが、小説の道を志すようになり、ゾラのもとで自然主義作家として出発する。1884年、『さかしま』を発表してゾラの影響下から脱却。この人工幻想耽美小説は当時大変な話題となっている。
 1887年あたりから悪魔主義に興味を覚えるようになり、1891年には俗に黒ミサ小説と呼ばれる『彼方』を発表。晩年はカトリックに帰依して信仰小説を執筆している。

 ユイスマンスと魔術のかかわりは、『彼方』を執筆するにあたって関係各方面の取材をするうちにリヨンのブーランと面識を持ったことに端を発する。彼はブーランの人物を好意的にとらえ、ブーランが当時直面していたド・ガイタ相手の魔術戦の援護射撃がわりに『彼方』の文中でド・ガイタ一党をくそみそにけなしている。結果として、ユイスマンスも魔術戦に参加することになってしまい、1893年にブーランが死亡した時には新聞紙上でド・ガイタを呪殺犯として告発、名誉毀損で決闘寸前までいっている。

主要著作 A Rebours, 1884.:『さかしま』田辺貞之助訳、桃源社。  
La-Bas, 1891.: 『彼方』田辺貞之助訳、桃源社。
参考文献 Baldick, Robert: The Life of J.-K. Huysmans, Clarendon Press, Oxford, 1955.


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