The Wheel of Fortune

"Shakcled on the Wheel of Time" Aug. 3rd, 1901.



 イングペンの遺作集に収録された一枚であり、原題は「時の輪に鎖でつながれる」となっている。背景は満月と星空、部分的に切り取られた輪といい、構図的にも秀逸といえる。時の輪は運命の輪と同義といってよく、差し替えは考えられない一枚であろう。

 何度も書いていることだが、タロット化を目的としていない絵画群からアルカナを選ぶ際、数種類のカードがネックとなって企画そのものが頓挫することが多い。「吊られた男」や「節制」は、何らかのコラージュで対処するのが常套手段となっている。「運命の輪」も適当な一枚を発見するのが大変なはずなのだが、ホートンの場合は実に楽というか、冗談抜きでタロットを前提に描いたのではと思わせる。

 かつて建築事務所の製図作業と生業としていたホートンである。そのせいであろうか車輪の描写はあまりに直接的というか、コンパスの針の位置まで推測できるであろう。輪廻転生のメカニズムを、まさに機械的にとらえている、と言い訳もきくであろうか。

 占術上の意味は本稿の目的ではないが、マンデインすなわち月下の運命の束縛、あたりがスタンダードな解釈であろう。





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