タロット評 

THE SMITH-WAITE CENTENNIAL TAROT DECK


US GAMES 2013.

 2013年11月にリリースされたこのデッキは、2009年に登場した「パメラ・コールマン・スミス記念セット」に収められていた復刻デッキの単独版です。記念セットデッキが疲弊した場合、再びセットごと購入するのは理不尽ではないかという現場の声に対応したもので、存在理由が明確といってよいでしょう。落ち着いた緑の色のタックボックスに入ったフルデッキで、印刷は中国とのこと。

 便宜上、記念セット収蔵デッキを09版、単独版を13版と呼称することにします。09版と13版は同一デッキとされていますが、両者を並べて厳密に比較すると、実はいろいろと異なることがわかります。まず色調は13版のほうがわずかに鮮やかというか、黄色系のコントラストが強い。さらに78枚を重ねると、09版の厚さが29.2mm、13版は28mmです。イタリア印刷のUSGスタンダードRWS78枚の厚さが26mmですから、記念デッキたちが「スティッフ」と呼ばれるのも理由がないわけではない、ということで。背模様は09版当時と同じ薔薇とモノグラムをアレンジしたものです。

 13版には付録としてパメラ・コールマン・スミスのイラストをカード化したものが4枚、タイトルと出典を記した1枚も入っています。LWB(リトル・ホワイト・ブック)はスチュアート・カプランUSG社長の紹介文、およびウェイトの『鍵』からカードの意味を紹介するパートがあり、まず標準的なものといえるでしょう。

 さてUSゲーム・システムズはこれでライダー・ウェイト・タロットをスタンダードなところで3種類、すなわち黄色箱、オリジナル、センテニアルをリリースしていることになります。これにリカラリング・デッキであるユニヴァーサルとアルバノがあり、さらにジャイアントやポケット、ミニチュアといったサイズ違いを加えると、いったい何種類あるのか本気で指折り数えないとわかりません。それでいて「これぞライダー・ウェイト」という決定的復刻版を出さないあたり、いかにも商魂たくましい。そういった混乱のなかにあっても、この13版は画面的にはまちがいなく最初期のライダー・パックの復刻といえます。09版をコレクター・アイテムとしてとっておきたい方、あるいは実占でがんがん使いたい方にはもってこいの品でしょう。

 さてこの13版、お値段は米国で平均13ドル前後、アマゾン・ジャパンでは2000円弱ですが、現在の円安や送料などを考えると、どちらで購入しても大差ないでしょう。ただし09セットをお持ちでない方には、あと1000円プラスすると数多くのおまけや本がつく09セットをお勧めしたく思います。



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