そらもう魔法円といえば定番小道具ですわ。作家、漫画家、ゲーム作家の皆さん、これまで散々利用なさいましたな。
しかるに皆さん、この小道具に対する認識がいまひとつ甘いようで、ここはひとつ宇儒破老師が正しい魔法円の描き方をお教えしましょうか。
魔法円にも防護円と召喚円の二種類があることをご存知ですかな。
1 防護円 その名の通り、術者が身を守るために用いる。この場合はデザインは大して変化しない。外周部にあれこれ有り難い神様の名前を書きこんである。中に入った術者は青い炎のサークルなど視覚化して時を過ごす。防護円は喚起作業の際に喚起三角と組み合わせて用いる。
2 召喚円 こちらは術者が中に入るもので、召喚対象との合一を果たすために用いる。デザインは多種多様。
そもそも召喚円には一定のデザインがないのですわ。なぜかというと、魔法円の外周部に書きこむ象徴や言葉は、季節、月、日時、召喚対象によって変化するからです。
ここにあげた召喚円は『ヘプタメロン』に見られるものですわ。色はこちらで勝手に塗りましたので参考にはなりません。
ここにあれこれ文字や記号を書き込む必要があるのですが、まず召喚作業の日時を決めるところから始める必要がある。
たとえば1999年7月1日午後3時に作業を行うとすると、季節は夏、曜日は木曜、午後3時ですから、書きこむ文字は記号は以下の如し。
夏の名前 Casmaran
夏の天使 Gargabel Tariel Gariel
夏の宮の頭部 Tubiel
夏の地の名前 Festative
夏の太陽 Athemay
夏の月 Armatus
木曜日担当の天使は Sachiel, Casiel, Asasiel 。 木曜午後3時を担当する天使は Michael 。
書きこむ記号は左の如し。
したがって召喚魔法円には実行日時の情報が残るわけです。
この種の情報は『777』に掲載されていますから、詳しくはあちらをどうぞ。
結局、召喚魔法円は巨大なホロスコープといってもよいわけです。ホラリーの一種でしょうか。
各種惑星の影響力を判断し、不足分を補ったり、あるいは中和させるという発想は昔からありましたが、どうやって補給作業をやるかとなると、百家争鳴。フィチーノ流の惑星の歌とか、あるいはタリスマン製作とか、いろいろありますな。召喚法もそのひとつと考えれば納得ゆく部分も多いです。
以上、あれこれ解説しました。続いてクリエイターの皆様への提言。
これまで多様な漫画、小説、映画、アニメ、ゲーム等で魔法円が登場していますが、そろそろステップアップする時期ですわ。
登場人物が怪しげな洋館や古城の一室で魔法円を見つける場面を描くにしても、「魔法円だ!」で済ませるのはもう古い。
魔法円を調べて「おとといの午前二時ですね。火の天使を召喚してます」などとオタクな台詞を吐くキャラを登場させるべきですわ。
なぜわかると聞かれたなら、さらに「火曜の天使の名前、午前二時の担当天使の名前が残っています」などとオタク全開モードに入るわけで、このくらいやっていただかないとリアリティーが感じられない段階にきておりますぞ。