われかく戦えり
―― 今昔オカルト戦記
こと戦争に負けたことがない英国では、戦争終結後に各界各方面が「われかく戦えり」と手記なりなんなりを発表するのが慣例となっており、それはオカルト方面でも例外ではないのです。
有名どころではジェラルド・ガードナーが『今日の魔女術』(1951)で報告した「魔女たちのヒトラー英国上陸阻止スペル」がありますな。英軍がダンケルクにて敗走した1940年5月、まさにドーヴァーを渡らんとする独軍に対して「力の円錐」が発動したとのこと。魔女たちは以前にもナポレオンを、はては無敵艦隊をも呪詛によって追い返したそうです。
クロウリーは愛国詩を発表する一方、情報部の友人知己にあれこれ情報や秘策を授けては無視されていた模様です。ちなみにこの種の記述で用いられる
battle on the astral plane という表現を不案内な人が訳すと「星の飛行機で戦う」になってしまい、われわれを楽しませることしきりです。小生、これまでに二機目撃しました。三機目はどこを飛んでおるのやら。
もっとも注目を集めたのは占星術師ルイ・ド・ウォールが発表した『戦争と平和の星』(1952)でありまして、占星術を用いた宣伝戦の実態をやや誇張気味かつ不正確に描いてしまいました。ノストラダムスが世間に喧伝されるようになった契機もこの本にあったと言えましょう。
以上、オカルト戦記の類はおおむね“帷幄の内”、“真相”といったものが多く、「陰謀ストーリー」と重なる部分も多いです。当然、自陣営は「正義の天使」ですから敵軍は邪悪、悪魔、黒魔術師といった設定となり、勝てば官軍とばかりに言いたい放題。
そういった、いわば「とんでも話」が横行するなか、ひとつだけ小生の心に残った地味なオカルト戦記があります。口頭の話ですので、裏がとれないのが残念です。
二次大戦中、フランスのレジスタンスのメンバーにひとり、妙な能力を持った女性がいたそうです。その女性は指先で不発弾を識別することができたというのです。ワンカートン100発とか144発とかの弾丸をマシンガンの弾倉に装填する際、彼女はときどき「これはだめ」と何発か除外するわけで、それがたいてい不発弾だったとのこと。異常に発達した品質検査能力だったのか、それともサイコメトリーだったのか、今となってはわからない。とにかく彼女が装填した弾倉は絶大な信頼を寄せられていたそうです。
なんとも地味な話ですが。
補足説明 : なにげに添付されているCGですが異常に手間がかかってます。フォトスタンド内の写真は一次大戦の戦闘機をモデリングして記念撮影風にレンダリングし、あげくにフォトショでモノクロにして改めて貼り込んでます。その上にガラス板を一枚嵌めて屈折率をいじり、ランプの光を乱反射させるという手の込みよう。Jpegで縮尺するとほとんど無意味でした。
製作環境 : Athlon XP 2400+, DDRSDRAM 1GB, Shade 6 Spirit, Photoshop
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