魔術ビギナーのためのO∴H∴特別講座2
初級心得編
いわゆる魔術の入門書を読みますと、たいてい「この本を読みましょう」などと推薦図書が並べてある。それがまた多数にのぼったりするので、ビギナーはげんなりしてしまうのですな。おまけに推薦される書物はハードな代物が多い。ユングだのヴィトゲンシュタインだの、どないせーっちゅうねん。魔術より難解な哲学やら心理学やらを参考にせよという姿勢からして間違っておるわな。
というわけで、この講座では推薦図書は最小限にとどめ、とりあえずビギナーが学習すべき内容を具体的に示しましょう。
まず、魔術関係で飛び交う専門用語や記号を覚える必要がありますな。
第一段階
1 占星術記号 まず十二宮と七惑星の記号を覚え、書けるようにしておく。
2 元素記号 四元素の記号。△、▽の類。水素がHで、金がAuでというあれではない。
3 ヘブル語のアルファベット22文字。読み方と書き方。
4 生命の樹の構造と各セフィラの名前と意味。
第二段階
1 基礎的占星術の学習。天文暦をもとにホロスコープを作成してアスペクト判断ができる程度でよい。
2 タロット・カードの学習。各カードのおおまかな意味を把握し、生命の樹に配属する。
まずこれだけわかれば、理論面の基礎知識はOK。
続いて魔術を学ぶとどういうことになるのか、それを知るには過去の魔術師の履歴、魔術結社の歴史を学ぶ必要がある。
1 近代魔術の成立を知るには黄金の夜明け団の歴史を学ぶ。
2 魔術師のメンタリティーを知るにはクロウリーやマサースの人生を学ぶ。
なお、「歴史を学ぶ」だけでなく、「歴史に学ぶ」ことが重要。
結論からいうと、「魔術の達人かならずしも人生の達人ならず」ということですな。
第三段階としては、万物照応論を“具体的”に学ぶ。すなわちあれこれ具体的にコレポンさせてまわる。
実践面に関していえば、とにかく五芒星儀式を行う。
毎日魔術関連の日記をつける。
ざっとこんなところですか。
以上の内容プラス多数の実践的知識をまとめた書物としては、秋端勉著『実践魔術講座』(碩文社刊 定価11420円+税)がおすすめ。この書物の指示にしたがってカリキュラムをこなせば、一年後にはビギナーの域を脱しているでしょう。
続いてかの有名な魔術師心得全六則
一、魔術を志す者は常に魔術を捨てる覚悟でいるべし。
一、魔術を志す者は現実世界の足場を固めるべし。
一、通常能力があやしい者に超常能力はつかない。
一、魔術では幸福になれないことを肝に銘じよ。
一、すべてを疑ってかかれ。
一、黙して語らず。
このうち三番目のやつが俗に「魔術の基本は読み書きソロバン」として有名ですわい。
今回は新たにひとつ、全員が覚えておくべき一項を付け加えましょうか。
一、魔術を志す者は主役になることをあきらめよ。
魔術師、魔法使いという人種は、いかなる状況にあっても「よくて脇役、だいたい悪役」なのである。主役はあきらめなさい。
魔術師が主役になる場合は、見習い魔術師、へぼ魔術師などであって、ようするに一般人と大差ないのですな。
この心得はすぐさまどうこうという直接的アドヴァイスにはなりませんが、長期的視野に立つときわめて有益です。