Tristan, Flora
フロラ・トリスタン
(1803-1844)


☆ 初期の社会主義者、女権論者、ポール・ゴーギャンの祖母。エリファス・レヴィに深い影響を与えたためここに収録される。

 1803年4月7日、スペイン系ペルー人の父とフランス人の母の間に私生児として出生。幼少時から貧困に苦しみ、長じては結婚に失敗し、無学で嫉妬深い夫ととの離婚闘争を通じて性差別、社会矛盾に目覚める。ほぼ独学でサン・シモン、フーリエ、オーウェン等の社会主義を学び、労働者階級と女性の権利の確立、死刑廃止等を唱えるようになり、その才気と美貌をもって時代の寵児となるが、子供の親権をめぐって別居中の夫から拳銃で撃たれて九死に一生を得るなど、波乱に満ちた生涯を送り、1844年11月14日、脳充血で死去。
 アルフォンス・ルイ・コンスタン即ち後の魔術師エリファス・レヴィが彼女の遺稿をまとめて出版している。

 フロラの孫であるゴーギャンが、回想録で祖母に少し触れて、彼女が「マパ」という奇怪な宗教を主宰したなどと書いたために、いろいろとレヴィのことまで取り沙汰されたが、実情は「マパ」を名乗るガンノーなる奇人を友人に持っていただけであった。
 それでも、フロラがレヴィに与えた影響は多大なものであるといえる。

主要著作 Promenades dans Londres, Paris, 1840.: The London Journal of Flora Tristan, Eng.tr. Jean Hawkes, Virago Press, London, 1982.: 『ロンドン散策』法政大学出版局、昭和62年。  
L' mancipation de la femme, ou le Testament de la paria, Paris, 1845.


参考文献 黒木義典、Flora Tristan: 1803-1844, 青山社、昭和55年。


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