Cyprian キプリアヌス ☆ 『黄金伝説』に登場するキリスト教初期の魔法使い。後に改宗して聖人となる。まずもって架空の人物。 アンチオキのキプリアヌスは、生存年代すら定かでないが、およそ紀元四世紀の人物と推定される。アポロ、ミトラ、デュオニソス等の密儀を学び、世界中を旅行した末にエジプトで魔法を身につけ、カルデアでは占星術を修めたことになっている。結果として、四大精霊を思いのままに操り、鳥獣に変身し、死霊を呼び出すなど朝飯前という魔法使いとなっていたが、キリスト教に改宗していた乙女ユスチナを魔力でものにしようとして、うまくゆかず、以後の企てもことごとく失敗に終わったために、偉大なるイエス・キリストの御威光に感じいって、自らキリスト教徒となったそうな。 その後、キプリアヌスは司教にまで出世して、聖キプリアヌスとして清らかな生涯を送ったともいわれるし、迫害にあって殉教したとも伝えられている。 悪い魔法使いキプリアヌスと清純なる乙女ユスチナの物語は、後年のファウスト伝説の原型と言われている。ポルトガル語圏では「聖キプリアヌスの書」と題する奥義書が多数出回っており、魔術師としての認知度は高い。 |
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主要著作 | |
参考文献 | ヤコブス・デ・ウォラギネ『黄金伝説』前田敬作・今村孝訳、人文書 院、1979年。 |
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