Blackwood, Algernon
アルジャーノン・ブラックウッド
(1869-1951)

魔法名 Umbram Fugat Veritas (G.D.)

☆ 著名な怪奇小説家。「黄金の夜明け」団員。

  高位の文官サー・アーサー・ブラックウッドと第五代マンチェスター公爵未亡人の間に生まれた良家の子弟であったが、家庭的な愛情には恵まれず、少年時代をモラビアの寄宿学校で送り、帰国後にエジンバラ大学医学部に入学するがものにならずに中退。21歳にしてカナダへ追いやられている。
 22歳にして神智学協会トロント支部の創立者に名を連ねており、若年から神秘傾向を持ち合わせていたのは明らかだが、1899年にロンドンに帰還するまでに十指に余る職を転々としており、社会的適性の点でも問題があったものと思われる。
 「黄金の夜明け」団参入は1900年10月30日、1903年の団最終分裂の際にはウェイト側に回っており、以後ウェイトと行動をともにしている。

 怪奇小説家としてのデビューは1906年、短編集『空家』が処女作である。以降、『ジョン・サイレンス』(1908)、『牧神の庭』(1912)とヒットを飛ばしている。小説に於ける彼の作風は二種、「黄金の夜明け」的なものと「超絶主義」的なものに分かれる。小説の出来は後者のほうがよい。

 ブラックウッドは怪奇小説家としては珍しく赤貧を洗うこともなく、晩年はラジオにも出演するなどして幸福な日々を送っている。


主要著作 John Silence, 1908.: 『妖怪博士ジョン・サイレンス』紀田順一郎&桂千穂訳、国書刊行会、昭和51年。
Jimbo, a Fantasy, 1909.: 『ジンボー』北村太郎訳、月刊ペン社、昭和54年。
The Human Chord, 1910.
The Centaur, 1911.: 『ケンタウロス』、八十島薫訳、月刊ペン社、 昭和51年。
A Prisoner in Fairyland, 1913.: 『妖精郷の囚れ人』 
Julius Le Vallon, 1916.
The Bright Messenger, 1922.
Episodes before Thirty, Cassel, London, 1923.: Peter Nevill, London, 1950.

『幽霊島』平井呈一編・訳、創元社、昭和33年。
『ブラックウッド傑作集』紀田順一郎編・訳、創土社、昭和47年。 
参考文献


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