☆ 放浪者タロットの「死」は「全身黒タイツ」です。

 肉襦袢なる古雅な言いまわしもあります。全身黒のタイツに白染料で骸骨を描きます。暗いところで見ると結構こわい。

 昔からある視覚トリックです。

 


 ようするにショッカーの戦闘員を思えばよろしい。夜祭の定番というべき出し物でありまして、欧州各地に伝承があります。むろんサーカスにも採用され、どくろ踊りとしていまでも人気があります。

 東西を問わず生者必滅会者定離は真理でございます。とりわけ西洋ではどくろが「メメント・モリ」すなわち「死を思え」と語りかけてくるわけでして、古来より美女と骸骨、英雄と骸骨といった感じの対比法的絵画が多数製作されました。その通俗版というか下位グレードというか、子供だましというか「なまはげ」というか、各種祝祭の夜の部では骸骨タイツ男が暗い夜道でかっぽれを踊るのであります。

 そして夜通し骸骨が騒いでも、やがて朝が到来し、魔法が解ける。そのプロセスが祝祭なのです。骸骨踊りの夜の恐怖、その次の朝の光、これぞカタルシス。これぞ古来より色あせぬ再生の秘儀。



カードの意味 : 時間、時代、変容。死と破壊。

カードの意味 : 夜祭と夜明け。緊張と解放。

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