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☆ 放浪者タロットの皇帝は、もちろんのこと偽物です。それ風の家来など引き連れて、農村部で募金活動を行います。 われこそは先帝のご落胤なり、民草よ、現金を拠出せよ。即位のあかつきには十倍の褒美をとらせるぞよ。 そこそこお金が集まったなら、長居は無用と遁走します。 | |
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わが国でいいますと、天一坊が有名ですな。
そもそもこの種の詐欺は政情不安の時期に横行するのであります。身分詐称で金銭詐取ですから、100パーセントの犯罪として官憲が対応すればよいのですが、困ったことに往々にしてオカルトがらみになる場合がある。
オカルティストの一大特徴に「血統妄想」というのがありまして、ちょっと油断すると下町の屋根裏部屋から「伯爵」とか「サー」とかが飛び出してくるのです。あるいは「わらわは前世にあってはアトランティスの王女であった」とか、もう証明もなにもあったものではない。この種の気の毒な人間に悪党がマネージャーとしてくっつくと、それは滑稽な人間ドラマが紡ぎ出されてしまうのです。
近代西洋の場合、もっとも利用されたのがルイ17世伝説ですわ。かのマリー・アントワネットの息子はバスティーユで獄死したのではなく、実は救出されて支援者にかくまわれたとする設定で、1830年代くらいになって「実はわれこそは」という中年詐欺師が多数、フランスの田舎に跋扈したのであります。
カードの意味 : 権威、権威をよりどころとする悪行。詐欺、遁走、逐電。
カードの意味 : 家系、お血筋、「ここにおわすおかたをどなたと心得る。おそれおおくも先の副将軍……」を好むメンタリティー。