この祭壇図版は10個のセフィロトと、それをつなぐ文字入り数字入りの小径、また小径を這いのぼる《蛇》を示している。 各セフィラの周囲に神格、大天使、天使軍団の名前が記されている。 二十二の小径は《知恵の蛇》によってつながれている。 蛇は小径を結んでいるが、セフィロトには少しも触れていない。 セフィロトをつなぐものは《燃える剣》である。 |
『黄金の夜明け魔術全書』上巻76p |
上の引用文は黄金の夜明け団の第二講義文書の一節である。団も最初の頃は新参者を呼び出して具体的に講義を行っていたのだが、いつの頃からか文書を渡して「読んどけ」という形式になってしまっている。ひとつにはアイルランド等の遠隔地に居住するメンバーの不利益をカバーする意味もあったらしい。
具体的講義の際には各種の教材が用いられたようである。とりわけ第二団に入ると講義内容も複雑となるため、教材は必須であった。立体天球の教義など、天球儀がなければまずチンプンカンプンであろう。
下のCGは生命の樹の三局面をばらばらに表現したものである。
さまざまな「樹」 |
CGであればいとも簡単に作成できるが、実際に工作するとなると結構手間であろう。材質としては「木球とだぼ」、「ガラスや金属の流し込みによる一体形成」あたりが考えられる。もちろんこれはビクトリア朝の話であり、現代ならポリ塩化ビフェニール等のプラスチック素材が候補にあがる。
ウェストコットはこの種の教材をこつこつと自前で準備して講義するのが楽しいというメンタリティーを有していたのであって、やはり「数寄者」の世界としかいいようがない。むろん、小生も数寄である。