タロットに似たもの4 絵ロザリオ
絵ロザリオ picture rosary とは読んで字の如く、ロザリオ十五玄義を絵画化して一枚絵にしたものである。
ロザリオ連祷自体は14世紀初頭から存在していたが、これが一気に大衆化するきっかけとなったものはドミニコ会が1475年前後に組織した平信徒集団
Confraternity of Rosary である。この組織はまたたく間に会員数10万を越え、ヨーロッパの各都市に支部が設けられたという。ロザリオ信徒会は男女ともに入会できるが、実際は7割方が女性会員であったらしい。
下は絵ロザリオの一例。聖母マリアの視点から眺めたイエスの生涯が十五画面、さらにドミニコ会の聖人四名および天使、さらに聖母子像と続く。おそらく信徒はこの絵をまず板に張り、さらに額装したのではないか。そして額にはカーテンを取り付け、礼拝時にのみ開帳したのであろう。
なお絵ロザリオには円環状に場面配置をするタイプもあり、こちらのほうはまさに「西洋の曼荼羅」となる。
このヴィジュアルとタロットのあいだに直接の関係を見出すことは困難であるが、少なくとも印刷タロットのほうはこの種の絵ロザリオと同じ場所で作製されていたのであり、デザイン面での類似も結構発見できるのである。
不謹慎を承知でいえば、絵ロザリオとチェスの駒二つ三つ、それにサイコロがあればゲームのひとつやふたつ簡単に思いつくであろう。ルーレットと組み合わせれば一瞬で「マリア賭博」のできあがりである。
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