竜の周転法則


 黄金の夜明け団に伝わるタロット文書中、もっとも難解なもの、それが「北極周辺の四エースに象徴される諸力の渦巻き周転の法則」(『黄金の夜明け魔術全書』下巻427−445p)である。

 この文書を理解するにはまえもってタロットの「立体天球配属」を熟知する必要があり、さらには4エースの渦巻き前進運動という、およそ文字では伝えにくい内容を伴っているからである。


 ようするに実際の星空にタロットを配属する立体天球配属では、北天の中心がりゅう座にある。北天の上半分すなわち北極から黄北緯45度までを四分割してそれぞれ王女の支配領域とするのであるが、このなかにエースの座と称される一角があり、それがりゅう座のとぐろと照応するのである。

 昔からどういうわけかりゅう座の絵は四箇所でとぐろを巻くことが決まりとなっている。このとぐろをもっとも複雑に解釈したもの、それが周転法則といってよい。

星図におけるりゅう座。
四箇所のとぐろに注意せよ


 さて、りゅう座の四つのとぐろはエースの支配領域に照応する。

  • 頭、最初のとぐろ ・・・杯のエース
  • 第二のとぐろ ・・・ 剣のエース
  • 第三のとぐろ ・・・ ペンタクルのエース
  • 第四のとぐろ ・・・ 棒のエース


 詳細は『黄金の夜明け魔術全書』下巻をあたっていただくとして、いわゆる渦巻き前進運動がいかなるものか、具体的に見てみよう。

 すなわち北天の上空中央部、りゅう座のあたりに、十二宮に照応する12の場を設定し、りゅうのとぐろにあたる部分をエースの座として元素の力が強くなるとする。この12の場を四元素が周回する際に、渦巻き前進運動が生ずると想定するのである。

 具体的に記すと ―


第三場 第二場 第一場 第十二場 第十一場 第十場
棒のエース 杯のエース 剣のエース 盤のエース

 四枚のエースをまずこのように配置してみる。以下は原文書を引用してみよう。

 「エースの運動方向は常に場の数字順に右から左である。通常のコースに従えば棒のエースは第三場に移動することになる。杯のエースは第2場に、剣のエースは第一場に、盤(ペンタクル)のエースは第十二場に移動する」

 「しかし第2場は棒のエースの座であるから、棒の力の運動を第三場に行かせずに、その場に引き寄せて束縛してしまう。ゆえに棒のエースは第2場に留まったまま、他のエースが順番に棒のエースを追い抜いていくことになる」

 このときの追い越し運動がりゅうのとぐろにたとえられるのである。

四エースの追い越し運動(這いまわる術式)

 この追い越し運動のために先頭の元素が定期的に入れ替わるのであり、四季の移り変わりの原因ともなっている。

 ちなみにりゅう座を中心とする元素伝達の術式を“ドラゴン・フォーミュラ”と称するのであって、これが四種類存在する。

  1. 這いまわる術式 
  2. 飛翔する術式
  3. 跳躍する術式
  4. 循環する術式


 以上のうち、最初の「這いまわる術式」が四エースの追い越し運動である。言葉であれこれいうよりも上のGIFアニメを見ていただくほうが理解が早いであろう。

 この術式を理解すれば、他の三種の術式も理解できるであろう。



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