タロット寓意その2


大アルカナ7−12


ラザロの蘇生 エルサレム入都 最後の晩餐 ユダの裏切り
洗足 聖体拝受 野中の祈り ユダの接吻
キリスト捕縛 キリスト尋問 嘲笑されるキリスト 縛られたキリスト



 引き続きアンジェリコ作「キリストの生涯」を見てみよう。ここにある12枚の連続画中、大アルカナの原型と見なしてよいものは「嘲笑されるキリスト」および「縛られたキリスト」の2点である。「エルサレム入都」も大アルカナ七番「戦車」の原型といえようか。

 まず「嘲笑されるキリスト」である。マルコによる福音書にいわく「そしてある者はイエスにつばきをかけ、目隠しをし、こぶしでたたいて、『言い当ててみよ』と言いはじめた」(マルコ14.65)。すなわち官憲に捕縛されたキリストがいじめられる場面である。この模様をアンジェリコがサンマルコ教会の僧房壁画として描いており、そちらのほうが参考になるであろう。


左は寓意化された「キリスト嘲笑図」(部分)、右は伝統的タロットである。タロットのほうはいわゆる「正義の女神テミス」であり、剣と天秤と目隠し(時に省略)を小道具としているわけだが、大アルカナ=キリストの生涯という観点に立てば、「嘲笑図」が変形したものと見なすことも可能であろう。

 続いて「縛られたキリスト」であるが、これは「吊られた男」の原型と見なしたい。




 左はアンジェリコの僧房壁画による「縛られたキリスト図」。キリストの生涯を連続画として描く場合、嘲笑→緊縛→十字架という流れを踏むの約束であるから、十字架を大アルカナ13番「死」と照応させるなら、「緊縛図」を「吊られた男」に当てるのが筋なのである。無論、緊縛図が逆さ吊りでないという弱みはある。

 なお、「剛毅」、「隠者」、「運命の輪」の三枚に関しては別ファイルにまとめて考察したい。



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