タロット霊視


時間 : 一時間以上、他者から妨害されない時間。
場所 : 可能ならば儀式専用室。個室。
人数 : 単独ないし同僚の魔術師数名。

下準備 : タロットの象徴体系、配色、照応する文字、連結するセフィロト等を研究しておくこと。

実践:
  1. カードを自分の前に配置し、自分がそのなかに入っていくように思われるまで、凝視すべし。
  2. あるいはカードを額その他の部所に押し当て、両目は閉じたままにしておく。
  3. 意志集中をへて一種の白昼夢状態へ移行する。
  4. ヴィジョンを得る。

終了 : なにか事態が生じたり、不快感があればすぐに意識は戻る。うたた寝から醒めたような感覚をおぼえることが多い。さもなくばヴィジョンが自然に途切れる。

以上、「黄金の夜明け」団(以下、GD)で行われていた霊視作業のマニュアルである。

 なお、この作業はタロットのみを対象としているわけではなく、タットワ・カードと称される簡単な彩色図形やエノキアン・スクエアという奇妙な図形を使って実行されることも多い。


タットワの一例 エノキアン・スクエアの一例


 霊視という作業は古今東西、はるか昔から行われてきたものである。鏡や水晶球といった光学系の道具を用いることが主であって、GDのように市販のカードを用いるというのは珍しい。

 さて、近代魔術はタロットを得てはじめて近代化した、というのがO∴H∴の主張であるが、このあたりを少し丁寧に検証してみよう。

 そもそも従来の霊視の場合、術者はただ受動的に水晶球なりなんなりを眺め、「なにか見えたらおめでとう」という甚だ心細い状況で活動していたのである。ゆえに術者はイメージを得ただけで舞いあがってしまい、未来を知っただの天啓を得ただのと勘違いしてしまう。

 しかるにGDの場合は、「見たいものを見る」のであって、きわめて積極的なのである。タロットを用いた霊視はその典型であり、金星の女神に会いたいとなれば配属にしたがって「女帝」のカードをセレクトするという具合なのだ。しかもGDには、自分のヴィジョンが予定通りに進行しているかをチェックするための技法まで伝わっている。たとえば「女帝」のカードで霊視を行っていて、ヴィジョン中にワニが登場したとしよう。GDの象徴体系ではワニは土星に配属される獣であるから、この場合、ヴィジョンの方向性が狂っていることを意味する。術者はこのワニのまえに白い輝光のヘブル文字「カフ」を描く。ワニが消滅するようなら、それが想像力の産物でしかなかったことになる。


木星の文字 カフ 土星の文字 タウ


 あるいは目前に出現した映像や人物像が記憶の産物ではないかと思われるなら、記憶を司る惑星土星の文字タウを描くのである。タウの輝きによって映像が薄れたり消滅したときは、さよかと悟って霊視作業を一旦中止するべきであろう。
タロット78枚の魔術的分類

 GDではタロット78枚の配属を団員に教授するにあたり、初伝と奥伝の二種類を用意していた。

 両者の差異をひとことでいうと、78枚の配属先がカバラの「生命の樹」か、あるいは具体的星空か、ということである。

 霊視作業には主に生命の樹配属が用いられる。

 後述する護符作業には星空配属(専門的には立体天球配属という)が用いられる。

 両配属とも別ファイルで解説するため、そちらを参照していただきたい。


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