パメラ・カーデン・ブロック書簡
1895年1月3日

真誉兄宛

 もちろんご存知でしょうが、ロータス・ワンド聖別の際は召喚対象の宮の色帯部分を持つことになります。他の聖別や召喚に際しては対象エレメントを支配する宮の色帯を持ってください。すなわち火であれば獅子宮を、地であれば金牛宮を、ということです。また召喚中のエレメントのことを強く念じなければなりません。状況次第ですが、立体の△や▼のペンタグラムを描いていると感じる必要もあります。最近私もこのことを真誉姉SSDDに教えていただきました。

B 作業中の魔術師は起立して召喚エレメントに照応する方角に向かいます。祭壇あるいはテーブルを背にする形で立ちます。

C シンボルの充填あるいは聖別に際しては、上述の如く部屋をぐるりと回る形で召喚し、それから祭壇の西に立ち、東を向きます。それから充填すべき物品の上に必要な召喚シンボルを描きます。

D 聖別済みのシンボルから力を消去する場合でも手順は一緒です。ただしテレズマや物品の充填をお望みとあれば、フルコースの聖別を行ったのち、力の純粋性を保持するためにすぐに絹布でそれを包み、安全な場所に保管する必要があります。力の消去をご希望なら、まず部屋のぐるりを召喚しますが、新たに充填した物品のうえに消去シンボルを描かないよう注意してください。別法としては、東を向いて以下の言葉を大声で叫ぶというものがあります。「犠牲を通して得られる大いなる力の名前イエヘシュア・エホヴァシャにおいて、われはいまこの儀式にてとどめおかれしすべての霊に出立の許可を与える。ただしわれがこのテレズマに新たにつなぎとめし者たちは例外とする。さればとどめおかれし他の霊たちは去るべし。平安のうちに汝の住居に戻るべし。○○(適切な神名)の祝福が汝とともにあらんことを。されば汝とわれのあいだに平安あるべし。われが呼ぶとき、喜んで来るべし」

 この術式はおっしゃられるような状況では有効です。貴兄は出立する力のごうっという音すら耳にされるかもしれません。この術式ならば新たに充填したシンボルを無効化してしまう危険を避けられるでしょう。

 E 五芒星至高儀式を行う際、各元素の五芒星を描くまえに均衡の五芒星を各コーナーに描いてもよいでしょう。これは必須というわけではありません。以前にお教えした位置すなわち北西から南東に向かって積極均衡化を行い、南東から北西に向かって消極均衡化を行うというのが通常の作法です。第三の方法としては、最初に霊の五芒星を部屋の各方角すべてに描くというものがあります。これは霊のサークルを部屋のぐるりに形成するため貴兄の立場をかなり強化するものと思われますが、私自身は試したことがありません。とはいえ私も機会があれば試してみようと思っております。通常の方法とどれほど効果面で差があるのか見届けてみたく思います。

 F 磁気鉄芯を持つ火の棒に関しましては、大誉兄ノン・オムニス・モリアルがたいてい在庫をお持ちでして、団員に販売してくださいます。現在は品切れとなっておりますが、すでに発注はされています。ご希望ならば入荷次第一本お送りいたします。もちろん自作なさってもかまいません。通常のサイズは6インチです。

 なんとも書き散らした形となり、申し訳ございません。また次のお手紙までにすべてを転写しておく時間がないというのも正直なところでございます。ご容赦をお願いいたします。

 主人とともに新年のお祝いを友愛を込めて

シェメベル
解説 : パメラ・カーデン・ブロック(1872-1929)がイエイツからの魔術的質問に答える形で返信した書簡である。察するにイエイツは魔術武器聖別儀式の細かい部分にこだわっており、セカンド・オーダーでの先輩にあたるパメラに指示を仰いでいるのである。四大武器を連続して聖別する際、最初の武器にこめたエネルギーが次の武器の充填儀式の際に消去されるのではないかというのがイエイツの懸念であったと思われる。
 充填したテレズマをすぐさま絹布で包めという指示がこの時点で見られる点が興味深い。絹のエネルギー保持効果はもともとアントン・メスメルが唱えたものといわれており、これといった説明がされないままオカルト界の申し送りになったらしい。


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