タロットカード オカルト・レヴュー編集部宛 |
拝啓 タロットカードに関して貴誌読者諸兄の関心を再度喚起しておくのも有益であろうと愚考いたしまして、一筆啓上する次第であります。このカードのことが神智学協会の会員のあいだですらあまりよく知られていないのは残念でなりません。また、オカルトに興味を有するという人々ですらこのカードをまったく知らないという例も散見されております。 数年前、ブリストルにおきまして私事に若干の不都合があり、どうしたものかと思っておりましたら、友人がタロットカードで占断をしてくれまして、これが驚くほど正確なものでした。そこで私もこのカードを習い覚え、現在に至るまで続けております。 三つばかり例を紹介させていただきましょう。数ヶ月前、私は政府のとある部署にきわめて有益な情報を提供いたしました。すると審査官と面接してくれと要望されまして、自分がどう受け取られたのか不安になりました(政府内では自分の「運」などわかったものではないからです)。そこで私は面接前に慌ててタロット占いをやり、満足のゆく結果を得たのみならず、それから会う面接官の人物すら知ることができました。昨年10月以降、社交上の問題でも私はタロットを用いており、一定の正確な回答を得ています。第三に、ささいなことかもしれませんが、クリスマス前にうちの猫が行方不明になりました。そこでタロットに尋ねてみますと、猫はどこかに閉じ込められていて、決していなくなったわけではないとのこと。翌朝、猫は近所の小麦粉倉庫から出てきました。たまたま閉じ込められてしまっていたようです。 私の経験からいうと、ウェイト氏の解釈に若干の修正を入れたほうがよい場合もあると思います。たとえば、軍事的な問題を占っていて第10のカードが剣の5で、それ以前のカードが吉札であったなら、それは質問者(嫌な人物)にとっては成功を意味するわけです。しかし他のカードが凶札であったなら、去ってゆく二人の人物が質問者あるいは案件をあらわす、といった具合。 5シリング本の209ページから305ページに記された占い法が一番よいように思います。もっと多くの人がタロットを知り、これを用いることが私のささやかな望みであります。 |
敬具 アーサー・マルロード・ターナー拝 |
『オカルト・レヴュー』1919年2月号の読者お便り欄に掲載された投稿である。興味深く思われるのは、この時点でタロットがあまり知られていないという現場の感覚であろう。世間一般はおろか、オカルト方面でも知らない人がいるというのである。 ウェイト氏の5シリング本とは『タロット図解』(1911)を指し、209−304頁にはご存知ケルト十字法が紹介されている。剣の5の解釈は図版を見たほうが早いので左に出しておく。 |