Noguchi, Yone ヨネ・ノグチ 野口米次郎 (1875-1947) ☆ 詩人にして英文学者。黄金の夜明け団にもっとも接近していた日本人としてここに収録される。 明治八年十二月八日、愛知県海部郡津島町にて出生。幼にして英語を学び、15歳で上京、慶応義塾に入るもこれを中退、19歳にして単身渡米と果たす。サンフランシスコにて苦学後、詩人ウォーキン・ミラーの下僕となってオークランド山中に暮らす。ミラーから直接詩を学ぶという得がたい経験を経て、1897年に詩集 Seen and Unseen を自費出版。アメリカ詩壇にデビューを果たす。 1902年に渡英。ロンドンにて詩集 From the Eastern Sea を自費出版して関係各方面に配布。一躍脚光を浴び、英文壇の寵児となる。このときにイエイツやアーサー・シモンズと交友を結ぶ。パメラ・コールマン・スミス等のサロンにも出入りするようになっている。 1904年に一旦帰米、日露戦争が勃発すると日本に戻っている。1906年には慶応義塾大学の英文学教授となり、以降英文和文にて多数の著作や詩を発表。対外的には浮世絵等の日本文化の紹介者として評価を得る。1912年にはオクスフォード大学にて日本詩歌論を講演。 太平洋戦争中は英米撃滅の詩など国威発揚活動に従事、そのせいもあって戦後は活動の場を失い、昭和22年に死去。婚外子として、女流作家ギルモアとのあいだにもうけた彫刻家イサム・ノグチがいる。 詩人としての野口は象徴派に属し、心霊術や神智学の基礎知識も持ち合わせていた。イエイツ、コールマン・スミス、トッドハンターといった黄金の夜明け団員と同席する機会もあり、著作のはしばしに貴重な情報が隠れていることが多い。 肖像画は『英米の十三年』にあったものである。 |
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主要著作 | Seen and Unseen, or, Monologue of a Homeless Snail, privately, San Francisco, 1897: Orientalia, New York, 1920. The American Diary of a Japanese Girl by Miss Morning Glory, Frederick Stokes, New York, 1905. From the Eastern Sea, privately, London: At the Unicorn, London, 1903. The Pilgrimage, Kelly & Walsh, Yokohama, 1909. The Story of Yone Noguchi, Jacobs, Philadelphia, 1914. Through the Torii, Four Seas, Boston, 1922. The Spirit of Japanese Poetry, John Murray, London, 1925. Utamaro, Seibundo, Tokyo, 1932. Hokusai, Elkin Matthews, London, 1925. Harunobu, Elkin Matthews, London, 1927. Hiroshige, Kegan Paul, London, 1934. The Ukiyoe Primitives, privately, Tokyo, 1933. 『帰朝の記』春陽堂、明治37年。 『英米の十三年』春陽堂、明治38年。 『欧洲文壇印象記』白日社出版部、大正5年。 『我が手を見よ』アルス、大正12年。 『野口米次郎ブツクレツト』全35冊第一書房、大正14年−昭和2年。 『野口米次郎定本詩集 表象抒情時』全四巻第一書房、大正14年−昭和2年。 『印度は語る』第一書房、昭和11年。 『八紘頌一百篇』冨山房、昭和19年。 |
参考文献 | |
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