魔術剣


 手頃な剣であればどれでも転用可能であるが、柄と鍔の部分には文字を書き込むだけの面積が必要である。全長、重量ともに中くらいがよい。

 達人のモットー、神秘なる図案や名前を刀身あるいは柄にエメラルドグリーンの文字で刻印する。柄、石突、鍔の部分は炎の赤色に塗る。

― 『黄金の夜明け魔術全書』下巻49p



 魔術剣は自作が容易でないため、既製品の流用が主であった。もととなる剣はフリーメーソンリーで用いる真鍮製の儀式剣が代表的である。本身の騎士剣は危険かつ扱いが難しいため敬遠されている。柄や鍔の塗装にはエナメルが用いられた。



 魔術剣のデザインに関しては1896年にウェストコットが発表した『サンクタム・レグナム』が詳しい。スペダリエリに伝えられたレヴィ文書の英訳である同書にいわく、

 「火星の時刻に鋼の刀身を鍛えるべし。また未使用の鍛冶道具を用いるべし。石突は空洞の銀製とし、なかに少量の水銀を入れよ。表面には水銀と月の象徴およびガブリエルとサマエルの組み合わせ文字を刻むべし。柄は錫にて覆い、木星の象徴とミカエルの組み合わせ文字を刻むべし。コーネリウス・アグリッパの『隠秘哲学』第3書30章を参照せよ。刀身の両側、柄に接する部分には小さな三角形の銅板を装着し、金星と水星の象徴を刻むべし。鍔は両側とも先端にてカーブを描く。一方の鍔にゲドゥラーとネツアク、他方の鍔にゲブラーとホドという言葉を刻む。中央部分にはティファレトというセフィロト名を刻む。刀身の一方にマルクト、他方に Quis ut Deus という言葉を刻むべし」 (Westcott, The Magical Ritual of Sanctum Regnum, George Redway, London, 1896, p.29)


 左のイラストは『サンクタム・レグナム』所蔵のものである。セフィロト名がローマ字で記してあるが、実際の刻印ではヘブル文字を用いるべきであろう。なお、本文中の指示にあるアグリッパの象徴等は以下の図版に言及したものと思われる。



とりあえずレヴィの魔術剣をCGにて構成してみた。




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