LYKE WAKE DIRGE

通夜の歌
 




通夜の歌

今夜、今夜
いつの夜も
炉辺と塩と蝋燭の炎
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

この場をはなれ
いつの夜も
ついに棘の荒野にたどりつく
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

靴下と靴を恵んでやったことがあるのなら
いつの夜も
その場に座って履くがよい
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

されど誰にも恵んでやらなかったのなら
いつの夜も
棘が骨まで突き刺さるがよい
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

棘の荒野を越えてゆき
いつの夜も
ついに恐れの橋にたどりつく
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

金銀を恵んでやったことがあるのなら
いつの夜も
恐れの橋に足場を見出すだろう
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

だれにも金銀を恵まなかったのなら
いつの夜も
地獄の炎のなかに転げおちるがよい
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

恐れの橋を越えてゆき
いつの夜も
ついに煉獄にたどりつく
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

肉と酒を与えたことがあるのなら
いつの夜も
炎におじけづくことはない
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

誰にも与えなかったのなら
いつの夜も
骨まで炎に焼かれるがよい
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

今夜、今夜
いつの夜も
炉辺と塩と蝋燭の炎
そしてキリストがお前の魂を迎えよう

----- ヨークシャー古謡


『グリーンシーフ』11号掲載。

元詩はヨークシャーに伝わる古謡であり、タイトルにある"LYKE" は遺骸の意。二行目と四行目は全連を通じて共通しており、合いの手の一種かと思われる。死者の枕頭にて歌われるもので、煉獄に向かう道筋を教え、また生者に生前の善行の意義を説く。メロディーは単調かつ陰鬱である。




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