『リトル・ワイダウェイク』1880年総集編本 Little Wideawake, an Illustrated Magazine for Good Children, George Routledge and Sons, London, 1880. 1875年から1892年まで発行された対象読者3−12歳児の雑誌である。右の本は1880年度の刊行分をまとめた豪華装丁版であり、表紙を飾るのはケイト・グリーナウェイの"Little Miss Patty"。内容は編者のセール・バーカー夫人の筆になる詩、物語、モールスワースの連載、懸賞、クイズその他。表紙にもあるように各頁に少なくとも1枚、全部で400ものイラストが収録されている。活字は大小2種類が用いられ、大きな活字は子供たちが自分で読むため、小さな活字は母親あるいは子守り(ナナ)に読んでもらうためのものとなっている。 ヴィクトリア朝の子供向け雑誌に登場するファンタジーや魔法を点検するための格好の資料といえる。1880年のこの号は、年齢的にいえば黄金の夜明け団員パメラ・カーデンあたりが読んでいて不思議ではない。 表題のワイダウェイクとは編者のバーカー夫人の息子のニックネームとのこと。 |
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「この絵につけるオリジナルの短編を募集。最優秀作品には豪華本を進呈。応募資格は14歳まで。1879年2月15日締め切り。送り先は−−」 |
"A Funny Twin Brother"という大きな活字で印刷された物語の挿絵。ロバのティムと飼い主のリジー。色を塗ったのはこの書物の持ち主の大人であったと思われる。 |
いうまでもなくマザーグースの代表作「ハンプティー・ダンプティー」のイラストと楽譜である。これ以外にもさまざまなナーサリー・ライムが紹介されている。鷹狩りの王様一行に道化師が加わっているのがおもしろい。卵の描写も一種独特であろう。 |