Note : The following articles are a sort of burlesque based on the fictious history of the Hermetic Order of Golden Down (sic). Gentle readers are kindly requested not to take them seriously. All characters in this burlesque are fictious. Any resemblance to actual persons, living or dead or undead, is purely coincidental.




これまでのおはなし

 明石大佐が正体不明の魔物と交渉しています。
 マグレガーたちはブライス街へと急行しています。



3DCG紙芝居
魔法中年マグレガー
VS
七人の黄金吸血美女


第十二話 決戦タワーブリッジ

 「書物、とな?」 怪傑バッテン仮面こと明石元二郎がいぶかしげな顔をした。

 「さよう、余は一冊の書物を求めておる。元来は余の持ち物であった、赤い表紙の書物だ」 闇のなかの魔物が語る。

 明石はしばし考え込んだのち、口を開いた。

 「伺ふにに貴公は大変な魔力をお持ちのやうだ。人間風情の手を煩わせるなどおかしいではないか」

 くぐもった低い笑い声が響いた。瞬間、明石の脳髄になにやら波のようなものが広がった。

 「魔力は魔界にて用いるものよ。ここではたいしたことは出来ぬ。せいぜい −−」

 その言葉とともにアルテミシアの胸元にてホヴァリングしていた蝿がすっと動き、窓から飛び出していった。

the red book


 その頃マグレガーたちはビフロンズ・ぬっぺふほふ・蹴早の解説を聞きながらブライスロードへと疾駆していた。

 「……バアルは強力だがここひとつ詰めが甘い。自分の本名を記した書物を人間界に流出させたのもそのせいだ」

 「アッピンの話は聞いたことがある」 マグレガーが呼吸を乱すことなくコメントした。

 「それで、なぜぼくたちにその本を押さえよ、と?」 アレックが質問を重ねた。

 「詳しくは話せない。ただし、あの書物がバアルの手に戻れば、手引きをした例の男女は当然バアルに願いをかなえてもらうことになる。そうなれば困るのはそっちだろう」

 エイツの望みはおそらくアイルランドの独立であり、また綿毛団の掌握である。アルテミシアの願いはかれらにはわからない。

 「それにしても、(喘)、ビフロンズとも、(喘)、あろう者がなぜ、(喘)、バアルの邪魔をする?」 ウィリアム博士が苦しい息の下から疑問を呈した。

 「諸君らと御同様。権力闘争であり、縄張り争いだ。当方としては、バアルにはちゅうぶらりんのかたちでいてもらいたい」

 そのとき。

 「!」

 ビフロンズ・ぬっぺふほふ・蹴早が空中で静止した。マグレガー、アレック、ウィリアムの三名も足をとめた。

 「諸君らは先に行け。あいつの相手はわたしだ」

 東の空になにかが煌いた。それは蝿の羽根であり、複眼であった。大英博物館ほどもあろうかという蝿が猛烈な速度で接近してくる。

 ビフロンズも大きく息を吸い込むやたちまちテート・ギャラリーほどの大きさとなった。

 蝿とビフロンズはタワーブリッジを挟んで対峙する形となった。

2002 oujupah


 「むちゃだ! ビフロンズとベルゼブブでは格が違いすぎる!」 ウィリアム博士がうめいた。

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 次週予告 : エンドフリップのレンダリングは終わりました。朝焼けをバックに横並びするキャラたちの頭上に The End と入ります。アルテミシアのラストカットも出来あがりました。白いトラベルスーツに身を包んで出番を待っています。

 実に三ヶ月に渡って連載された3DCG紙芝居、まさに終幕を迎えんとす!!

 ところでここだけの話、どうにも黄金吸血美女まで行きつかんのですわ。しかも七人。どないしょう。