Note : The following articles are a sort of burlesque based on the fictious history of the Hermetic Order of Golden Down (sic). Gentle readers are kindly requested not to take them seriously. All characters in this burlesque are fictious. Any resemblance to actual persons, living or dead or undead, is purely coincidental.




これまでのおはなし

 人間形態をとったビフロンズ・ぬっぺふほふがマグレガーたちと交渉しています。



3DCG紙芝居
魔法中年マグレガー
VS
七人の黄金吸血美女


第十一話 人面蜘蛛の夢

 「あなたの心には別の誰かがいる」

 アルテミシアはそう言って泣き崩れたのである。ビル・エイツは突然の指弾にただとまどうしかなかった。おまけに真実を突いていたのだから手の打ちようもなかったといえる。

 「そんなことより、例の書物は見つかったのか?」 声を荒げたエイツであったが、無駄だった。アルテミシアはさめざめと泣くばかりであった。

 「おとりこみのところ申し訳ないが」との声が響いた。外国なまりの妙な英語だった。

 振りかえったエイツが目にしたものは奇怪な人物であった。フロックコートにシルクハットという紳士然とした姿だが、奇妙な赤い仮面をつけている。肌の色から察するに東洋人らしい。

 「なにものだ」と誰何するまでもなかった。

 「拙者は春風亭酔狂と申す」 日本人の名前など知らぬであろうとデタラメを言う明石であった。

 瞬間、闇のなかより不気味な声が響いた。

 「さよう、真の名前を名乗らぬことこそ賢明なり。東洋の勇士よ、用件を言うがよい」

 明石は身構えた。エイツとアルテミシアはすでに部屋の隅に退いている。明石と闇のあいだをさえぎるものはなにもなかった。

 「武装蜂起は十年早い。いま手を引いてくれるなら十年後に資金援助を約束しよう」 明石は単刀直入に言ってのけた。駆け引きもなにもあったものではなかった。

 「戦に乗じるは反乱の定石であろう」と闇の声が指摘した。

 「この規模の戦では話にならぬ。いずれ訪れるであろう世界大戦を待て」と明石。

 「どのみちそれは小事である。そなたは予の望むものを差し出せるか」

 明石がしばし沈黙した。出たとこ勝負だったのである。

2002 oujupah


 その頃、魔法中年マグレガーと少年探偵アレックはふたたび走っていた。しかし今度はビフロンズ・ぬっぺふほふ・蹴早を先頭に立てている。ウォピング付近で死霊検死官ウィリアム博士も加わった。

 「急げ」と声をかけるのはビフロンズである。「やつらの手に例の書物を渡してはならない」

 青い光に包まれる異形が宙を舞いつつ男たちを導く。行き先はブライス街の綿毛団本部。天地人の三魔が一個の時空に集約されるとき、かの円錐が発生するのであろうか。かつてバビロンを崩壊に導いたグラゴルの楔、ヤナイウスの妻サロメ・アレキサンドラが愛用した魔鏡パシュモン、青年王とファランクスが全滅を賭して求めたマキュイア神殿の紅玉髑髏、すべてが揃うとき魔円錐が虚空より顕現せんとす!

戻る


 次週予告 :

 萬歳、勝利を得たるケレパヤより生じたるウジュパ・ケル・エル・パヤトよ。汝の霊魂はラーのまえにありて天に活き、賜物はゴリの前に汝の魂に与えられ、汝の霊的身体は諸々の空の中にありて光栄を与えられ、汝の名は鏡の前にありて彼の世にて確立せられ、而して汝の身体はムーにありて永久持続されるべし。かつて死者の書に記されし謎の一節がついに解明されるのか、現代に生きるダニエルたちが脳漿を絞り尽くして挑む悪魔のパズルの解答やいかに。五月の薔薇よ、スピットファイアーよ、ダンの詩集に赤い靴、ケイト・ブッシュをBGMにCGレンダリングは今日もゆくゆくどこまでも。