魔術ビギナーのためのO∴H∴選定推薦図書


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 O∴H∴が選定するビギナー向けの図書ということで、当然ながらすべて日本語の本としましょう。
 どの本もうじゅぱ老師がこれまで熟読再読を繰り返し、いまだ飽きることがないという名作揃いですわい。



1 小泉八雲 『日本瞥見記』(平井呈一訳 恒文社)より 「盆踊り」

コメント : なにがあろうとこれだけは絶対に読んでおくべし。また、必ず平井呈一訳で読むべし。これを読んだあと、日本人が西洋魔術をやる意味を自問自答せよ。

備考 : 偕成社が昭和42年に出したホーム・スクール版/日本の名作文学5『怪談』(平井呈一訳)に収録された「盆踊り」もよい。こちらはですます調で訳されているため、雰囲気がさらにやわらかくなっている。小泉八雲を平井呈一訳で読むことは、日本語を読める人間にとっての至上の特権と心得るべし。



2 オルダス・ハクスリー『知覚の扉 天国と地獄』(今村光一訳 河出書房新社)。

コメント : ここに提出された概念をもとにヴィジョン体験の意味を自問自答すべし。いわゆるヴィジョン体験ものの古典であり、その論考はいまでも鋭さを失っていない。クロウリーがハクスリーに薬物指導を行ったという説があり、その点でも興味深いものがある。



3 H・R・ハガード『洞窟の女王』(大久保康雄訳 創元推理文庫)

コメント : 凄絶なる美貌と卓越した叡智を兼備する不老不死の女王アッシャ。西洋魔法の世界によく出没する「謎の女」モチーフの代表例。この作品は1886年の発表であり、ウェストコットのSDA捏造作業に影響を与えた可能性あり。この作品のいろいろな部分が魔法関連文献に引用されているため、原典を知る必要もある。



4 いしいひさいち『地底人の逆襲』(双葉文庫)

コメント : 地上のおろかな人間どもがクロウリーだ魔法だと阿呆な騒ぎを起こしていたそのころ。地の底深く暗澹たる闇の奥のそのまた奥の奥の奥。おそるべき侵略者の群れが虎視眈々と性懲りもなく地上世界への侵攻をくわだてていたのである。これこそ、そお! あの!! 地底人である!!!

備考 : 『西洋魔物図鑑』の195頁、ゴブリンの項の解説にいわく「邪悪な地霊の仲間。容貌は醜悪、サイズは小さめ。とんでもない石頭であり、地下世界に住む。破壊工作や謀叛も好きであり、おうおうにして地上世界への侵攻をたくらむが、基本的に間抜けなのでたいてい失敗する」とある。この項目を執筆していたときに作者の念頭にあったものがいしいひさいちの“地底人”であったと思われる。

本来であれば1987年刊行の『地底人 暗黒魔團の陰謀』を推薦したいが、これは絶版。