ヴィジョン対話編 フロレンス・ファー作 "A Dialogue of Vision" by Florence Farr (The Theosophical Review, VOL.XXXIX. No.229. 1906). |
レベッカ: | わたくしはエジプトのものならばすべて好きでございますし、多くのヴィジョンを見てまいりました。わたくしがエジプトのヴィジョンを見る手助けをしていただけますか? |
未亡人: | 出来るだけのことはいたしましょう。ここに本物のエジプトのタリスマンがあります。手に持ってごらんなさい。なにか見えますか? |
レベッカ: | (暫しの沈黙の後)セト・ホルの炉です。わたしはそのなかを通ります。わたしはふたつの永遠のあいだにいます。いろいろな世界が泡のようにはじけていくさまが見えます。おそろしく寒い場所に出ました。極洋のなかにピラミッド状の氷塊があります。 |
未亡人: | それで? |
レベッカ: | 大きなガレー船が接近してきます。そのなかにとても年をとった老人がいます。かれは七つの輪を載せたサークルを掲げています。かれいわく、それは月に引きつけられる不可視のエーテル世界群をあらわすとのこと。かれは魚の鱗に覆われています。それが王権の象徴だと言っています。七つの世界がより物質化していたとき、かれはそれらを支配していたのです。ある時期、太陽の諸力を完璧に支配していましたが、太陽のほうが力を得てかれの世界を焼き尽くしてしまい、われわれの物理的視界から溶け失せてしまったとのこと。人のうつろう心にとっては、エーテルの世界はとても居心地がよい場所で、はかりしれない叡智に満ちています。かつて人類がこの域にまで入り込んだのは永劫の昔に一度あっただけだそうです。かれが知る地球はその頃ただの星屑でした。諸世界が作られつつあるとき、かれ、および当時かれの支配下にあった大いなる太陽力は諸世界を用いた球技に戯れていたとのこと。 |
未亡人: | それはきっと、宇宙越しに世界を投げ合うといわれる「存在」でしょう。典型的な「エジプト」的ヴィジョンをお見せできなかったようですね。別の象徴を試しましょうか? |
レベッカ: | そうしましょう。あなたとご一緒なら簡単に見ることができます。(未亡人が別のタリスマンを渡す)。ああ、今度は素晴らしい部屋が見えます。上のほうにはマルタン・ニスが塗ってあるようです。とぐろを巻いた緑の大蛇が何匹も天井からぶらさがってランプになっている。ライトは花の形をしていて、緑玉髄とルビーとサファイアとダイヤモンドからできている。古代カルデアの賢者が赤い衣をまとって緑の大蛇の下に座っている。脚を組んで座っていて、蛇がかれに話し掛けている。蛇は魂の五つのランプと賢者を結びつける。賢者いわく、五つのランプは魂を取り囲む影響力とのこと。 |
未亡人: | それは説明がつくと思いますよ。それらは「自然」の「気分」です。緑と白は内外にほとばしる多様性です。赤と青は内外にほとばしる統一です。そして蛇たちはわたしたちと「気分」をつなぐ神秘の道なのです。 |
レベッカ: | 緑のライトは驚異と恐怖とヴィジョンです。赤いライトは知性の炎であり、自分以外のすべてを貪り尽くします。黄色のライトは未来を見通す光です。青いライトは現在の真の意味を知ることであり、不滅です。白いライトは過去の伝統と儀式の知識です。それは祈りと同じく神々をひきつけます。 |
未亡人: | 面白いヴィジョンですね。別の見者にも質問してみましょう。 |
レベッカ: | わたしには謎です。わたしはオカルト体系をなにも知らないからです。 |
(続く) | |