Vaughan, Diana ダイアナ・ヴォーン (1865-?) ☆ 世紀末フランスをいろどった「パラディウム団事件」の架空ヒロイン。レオ・タクシルの書物にて有名になる。 ダイアナ・ヴォーンは世界最悪のフリーメーソン系悪魔崇拝組織「パラディウム」団の高等女司祭であり、アメリカはチャールストンにて悪のかぎりを尽くしていたが、団内の権力闘争に敗れてパリで分派を組織、やがて真の神の愛に目覚めて前非を悔いたと、そういう設定となっている。 ダイアナは血統的には英国の著名錬金術師トマス・ヴォーンの末裔とされていて、話は17世紀半ばにまでさかのぼる。なんでもトマス翁がアメリカ旅行をした際に、ネイティヴ・アメリカンの村に滞在した。すると夜毎にヴィーナス・アスタルテがやってきて寝床を共にしたのであって、11日後に娘が生まれたとのこと。この娘の末裔がダイアナであり、一族に伝わる悪魔崇拝のエリートとしてパラディウム団に参入したのだそうな。 こういった楽しい話が次々と雑誌に発表され、世紀末フランスはちょっとしたダイアナ・フィーヴァーに燃えていたのである。 これらすべてはタクシルが、メーソンとカトリック教会の両者をおちょくりたおすために周到に準備したものであり、もくろみどおりに両者は架空のヒロインをめぐって凄絶な暗闘を演じたのである。カトリック教会ではダイアナの魂のために正式のミサが催され、メーソン陣営はすべては言いがかりであると必死の論陣を張った。 タクシルがすべては悪戯であった発表するのは1897年4月19日のことであり、以来彼女の件はオカルト界トップクラスのジョークとして評価されている。 図版はレオ・タクシルの「フリーメーソンの秘密』扉絵。明示されてはいないがダイアナ・ヴォーンをイメージしていると思われる。 |
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主要著作 | Memoires d'une ex-palladiste, Pierret, Paris, 1896. La Restauration du Paganisme, Pierret, Paris, 1896. (ダイアナ名義なれど著者はタクシル) |
参考文献 |
McIntosh, Christopher, Eliphas Levi and the French Occult Revival, Rider, London, 1972. |
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