Doyle, Sir Arthur Conan アーサー・コナン・ドイル (1859-1930) ☆ 英国の小説家、シャーロック・ホームズの創造者、心霊術推進の旗手。 いまとなってはホームズの作家として記憶される存在であるが、本人は歴史小説家をもって任じている。後半生の心霊術傾倒、および若干の「黄金の夜明け」関係のためにこの人名録に収録される。 コナン・ドイルの「黄金の夜明け」接触は、本人が後年『ピアソンズ・マガジン』誌上にて語ったところによれば、ほぼ以下の如し。 「自宅の近所に小柄な医者が住んでいた。医療の腕まえも小粒だったのではなかろうか。プーレン・ベリーという名前の医者だった。かれはオカルトの研究者で、聞くところによると自宅に開かずの間を持っているという。神秘哲学のために特別にとってある一室で、かれ以外はだれも入れないというから、私も興味をそそられたのだ」1 プーレン・ベリーとはもちろんGDのメンバーで、兄弟A.P.S.として知られるあのプーレン・ベリーである。コナン・ドイルはベリーから入団勧誘を受け、さらにある晩、就寝中に星幽体の訪問があり、なんらかの資格チェックをされたという。それが不愉快だったのか、ドイルはGD入団を断っている。 ドイルはもともと神秘傾向を持ち合わせていたが、それが全面的に開放されるのは1次大戦後、多数の肉親や知人を亡くしてからである。オーストラリア、アメリカ、カナダと心霊術推進のための講演旅行を行い、また多数の心霊術啓蒙書を発表。1922年にはコティングレー谷妖精写真事件に積極的に参加して『妖精の到来』を発表、妖精の実在を信じている旨を公表して世間を圧倒している。もともとこれと決めた目標にはブルドーザーのように猛進する人物であったため、心霊術推進においてもその徹底振りはいかんなく発揮されたのであった。 略歴 1859年5月22日、エジンバラにて出生。 1876年、エジンバラ大学医学部に入学。ここでジョセフ・ベル教授に接し、のちのホームズのヒントを得る。 1881年、エジンバラ大学医学部卒業。ポーツマス郊外サウスシーにて医院を開業。開店休業状態となり、空いた時間に小説を執筆。 1885年、最初の妻ルイーズ・ホーキンスと結婚。一男一女をもうける。 1887年、『緋色の研究』を発表。 1891年、ホームズもの大ヒット。専業作家に転身。 1893年、SPR、心霊調査協会に入会。 1898年、「黄金の夜明け」団に勧誘されるも、これを断る。 1902年、ナイト爵に叙せられる。 1906年、妻ルイーズ死去。 1907年、2番目の妻ジーン・レッキーと再婚。二男一女をもうける。 1914年、一次対戦勃発に接し、自ら義勇軍を設立して一兵卒として参戦。 1920年、心霊術信奉者であることを公表。心霊術推進のために私財を投じる。 1921年、妻ジーン、霊能力に目覚め、自動筆記を始める。 1922年、コティングレー妖精事件に関係、問題作『妖精の到来』を発表。 1926年、大著『心霊術の歴史』上下巻を発表。 1930年7月7日、死去。 1 Ellic Howe, The Magicians of the Golden Dawn (London: RKP, 1972), pp.199-200. このときドイルの入団が実現していれば、おそらくかれは魔法名としてドイル家代々のモットーを採用し、Fra. Fortitudine Vincit となったであろう。 |
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主要著作 | The New Revelation, Doran, New York, 1918.: コナン・ドイル『コナン・ドイルの心霊学』近藤千雄訳、潮文社、2002年。 The Vital Message, Hodder and Stoughton,[1919]. The Coming of the Fairies, Doran, New York, 1922.:Psychic Press, London, 1928.: アーサー・コナン・ドイル『妖精の出現−コティングリー妖精事件』井村君江訳、あんず堂、1998年。 The Case for Spirit Photography, George H. Doran Co., New York, 1923. The History of Spiritualism, 2vols, Cassel & Co., London, 1926. The Land of Mist, Doran, New York, 1926.: コナン・ドイル『霧の国』滝口直太郎訳、創元SF文庫、1971年。 Pheneas Speaks, The Psychic Press, [1927]. Our African Winter,Ryerson Press, Tronto, 1929. The Edge of the Unknown, G.P.Putnam's Sons, New York, 1930. *心霊術関連のみ |
参考文献 | Symons, Julian: Conan Doyle, Portrait of an Artist, Whizzard Press, New York, 1979.:ジュリアン・シモンズ著『コナン・ドイル』深町真理子訳、創元推理文庫、1991年。 Goldscheider: Conan Doyle Bibliography, Gaby Goldscheider, Windsor, 1977. Stavert, Geoffrey: Study In Southsea: The Unrevealed Life of Doctor Arthur Conan Doyle, Milestone Publication, 1987. Coren, Michael: Conan Doyle, Bloomsbury, London, 1995. |
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