CECIL FRENCH (1879-1953) |
セシル・フレンチ ダブリン生まれの画家にして詩人、舞台美術家。若くしてロイヤル・アカデミーに学び、20世紀初頭には個展も開いていた。その後は絵画も詩も余技としたらしく、これといった作品を残さなかった。むしろ1次大戦後の美術界にあって凋落の一途をたどっていたラファエロ前派の絵画を収集し、その保全につとめたパトロンとしての評価が高い。彼が集めた絵画群は遺言にしたがって英国各地の美術館に分配寄贈されている。 フレンチの作品がはたしてどの程度魔術や神秘主義の影響下にあるのかどうか、意見は分かれるであろう。交友範囲にオカルト関係者が多いのは事実であるし、叔母のフローレンス・ケネディーは黄金の夜明け団団員である。もっとも本人が神智学協会会報に文章を寄稿しているのであるから、シンパと見なすに十分であろうか。 処女詩集『太陽と月の間』は古くからの知己イエイツに捧げられ、冒頭の一篇が Prayer to the Master of Angelic Powers と題されている。エリーズ・エモンズの詩集に見られる十二宮図を見るかぎり、少なくともオカルト方面を嫌っていないことは明らかである。 |
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six drawings for The Pageant of the Year (1929) by Elise Emmons |
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エリーズ・エモンズの詩集 The Pageant of the Year につけられたイラスト。1月から12月までを擬人化して詩にしたものである。占星術記号で支配星を書き込むあたり、フレンチのオカルト趣味が窺われる。 |
bibliography |
main works French, Cecil, Between Sun and Moon, Favil Press, London, 1922. French, Cecil. With the Years, The Richards Press, London, 1927. books and publications with Cecil French Illustrations. Pamela Colman Smith ed. The Green Sheaf, London, 1903-4. Elise Emons, The Pageant of the Year, Arthur H. Stockwell, London, 1929. contributions "A Painter of a New Day", in The Venture, John Baillie, London, 1905. "The Conscience of the Artist", in The Theosopical Review, TPS, June-July, 1904. "Introduction" in T. Sturge Moore (Modern Woodcutters 3), At the Little Art Rooms, London, 1921. |
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