魔術ビギナーのためのO∴H∴特別講座
初級錬金編
そもそも西洋オカルティズムの三本柱は魔術、占星術、錬金術でありまして、この三者は密接にからんどるのでありますな。
黄金の夜明け団でもごく初期の段階で錬金術知識が伝達されておりました。
錬金術の目的はおおむね賢者の石を用いた黄金変成か不老不死の霊薬の製造と決まっております。すなわち人類の永遠の夢です。古代中国では、皇帝たちが不老不死の霊薬として砒素と水銀を日々服用していたとの話。効果は知りません。試す気も起きません。
とりあえず魔術ビギナーが覚えておくべきは、現在における錬金術へのアプローチがほぼ3種あるということでしょうな。
1 ボヘミア学派 最近では数が少なくなっている一派。私利私欲を動機として化学実験により鉛を金に変えようという錬金術の王道。勘違い多し。
2 チューリヒ学派 現代錬金術の主流。ユング心理学を土台に錬金術象徴を解釈する。たいして実用性なし。人畜無害。
3 ウィーン学派 錬金術を性的に解釈する一派。説得力あり。実行者少なし。好事家向け。
以上3種のうち、魔術に関係してくるものは2と3。ただしウィーン学派は初級にあらず。中級ないし退学組向け。ボヘミア学派に興味がある人はよそにいってください。
現代魔術業界においては、鉛を金に変えるというプロセスを、俗人が達人になる修行プロセスと同一視することが主流ですな。一応の設定としては、黄金変成は俗人には不可能であるが、真の達人ならば可能とされている。ただし真の達人たる者、私利私欲などは超越しているので、黄金変成など行わないのだそうで。
あまりビギナー向けとはいいがたい話なのですが、魔術的錬金術という分野がありまして。魔術結社で行われる入門儀式を鉛等の卑金属に施し、黄金に変成させるというコンセプトがありますわい。詳細に関しては黄金の夜明け団に伝わるZ2文書というのを当たられたし。
結局、魔術ビギナーが覚えておくべき錬金術知識とは、各元素の記号程度しかないのですわ。
あとは比喩的に用いられる変成だの賢者の石だの、その種の言いまわしになれるだけでよいでしょうな。
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