アリス・メイネル 『続・詩集』

Meynell, Alice Later Poems, John Lane, The Bodley Head, London, 1902. Hard cover 117mm*180mm, 38pp + 4pp advert.

英国の詩人アリス・メイネル(1847-1922)の瀟洒な詩集。旧姓アリス・トンプソンは1847年出生、28歳にして処女詩集『前奏曲集』を出版、その後ジャーナリストであったウィルフレッド・メイネルと結婚、八児の母となる。夫ともに幾多の雑誌を編集、90年代には『ペルメル・ガゼット』の常連ライターとなる。婦人参政権運動にも積極的に参加するなど、積極的な人生を送り、1922年に死去。

 当館所蔵のメイネルの詩集はもともとアーサー・エドワード・ウェイトの蔵書であったもので、かれのシドマス・ロッジ時代の蔵書票、およびウェイトの肖像写真が貼り付けてある。蔵書票に記されたペン字はおそらくウェイト本人の書き込みであろう。下図参照。

 



ARTHUR EDWARD WAITE,

SIDMOUTH LODGE,

    SOUTH EALING,

            MIDDLESEX.



ウェイトの蔵書が流出した経緯はギルバートのウェイト伝に記されている。いわく

 1899年、イーストレイク・ロッジを売却したのち、ウェイトはガナーズベリー・パークのはるか向こう側に転居していた。サウス・イーリング・ロード31番地にシドマス・ロッジという、以前に較べればずっと陰気でない家を確保していたからである。一家はほぼ20年間、イーリングにとどまることになり、ウェイトはこの家を−−とりわけ書庫を誇りに思っていた。フィリップ・ウェルビーが回想するに「長方形の古めかしい部屋で、四面すべて書棚という造作だった。およそ考えられるかぎりの稀書、貴書、奇書が溢れかえっていた(1942年追悼文)。この家が売却されるとき、ウェイトにとって一番残念だったのは、ラムズゲートの新居では収納しきれないという理由でおよそ1500冊を手放さざるを得なかったことである。 

R.A.Gilbert, A.E.Waite, Magician of Many Parts, (Wellingborough, Northamptonshire: Crucible, 1987) p.155.

これが1919年のことである。ウェイト蔵書番号5633のメイネル詩集は1500冊のなかの1冊としてシドマスを離れ、幾多の流転を経て小生の書斎に仮寓を見出したのである。ちなみにお定まりの話といおうか、1919年当初の売却価格は二束三文。それが転売されてふと気づけば翌年に大手古書店にて10倍の値段で売りに出されたという。ウェイトの切歯扼腕は想像にかたくない。

 当館所蔵のメイネル詩集にはウェイトの肖像写真も添付されているが、これが本人の手による添付とは思えない。自分の写真など貼ってなんの意味があるのか。おそらく次の所有者がウェイトの蔵書票を見て、参考資料として貼りつけたものであろう。写真自体は雑誌の切り抜きかなにかだが、巷によく見るウェイトの肖像写真よりもやや若く、おそらく1910年代前半くらいの撮影と思われる。この写真は西洋魔術博物館の魔術人名録にて使用されている。



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