西洋魔術博物館 収蔵品 no.1a


中世末期印刷時祷書


左ケルヴェール時祷書零葉 約1300x2000 別ウィンドウにて開く

右ケルヴェール時祷書零葉 約1300x2000 別ウィンドウにて開く


時祷書零葉 黄金数解説


1507年パリ。ティールマン・ケルヴェール印刷による「「聖母時祷書」中の全面図版リーフ(165*115mm)。 印刷、一部手彩色。ヴェラムに赤黒印字。頭文字、段落記号、終止埋め草に青地およびマゼンタ地に金文字による手彩色。

黄金数 golden numbers とは時祷書カレンダーの左端に記されるiからxixまでのローマ数字であり、その月の新月の開始日をあらわす。算出法は簡単で、ユリウス暦の年号に1を足した数を19で割り、余った数を黄金数とする。割り切れた場合、黄金数はxixとなる。例 1507年 1507+1=1508 1508/8=1501 余り7 黄金数=vii

 続いてカレンダーの黄金数の位置を参照する。左のカレンダーはヴォストル時祷書の8月のそれ。黄金数 vii は11日の位置にあるため、8月11日が新月、その14日後が満月であるとわかる。

 黄金数解説の章はケルヴェール時祷書ではオプション扱いであり、どの版にでも見られるというものではない。黄金数を円形にあしらい、中央に巡礼姿の大ヤコブを入れるという構図は護符的意味合いを有していると思われる。



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