死霊術系妖精召喚 taken from Reginald Scot’s The Discoverie of
Wichcraft, Booke XV. Chap.8 |
以上をなしおえたなら、急いで場を移し、客間あるいは寝室にて白墨で円を描くべし。汝が入る円より4フィート離れた場所にシビリアが現れるための円を描くべし。この円には神名を記してはならない。聖なる事物を入れてもいけない。ただ円を描くべし。師匠は書物を、同行者は右手に水晶石を持って第一の円のなかに座し、石のなかに妖精が現れるのを待つべし。また師匠は羊皮紙に印形を記したものを胸元に納めおくべし。作業日時は新月の頃の木星の時刻、太陽と月が巨蟹宮、人馬宮、双魚宮のいずれかの宮にともに入るときとする。 父なる神、子なるイエス・キリスト、そして聖霊の御名によりてわれ汝に命ず、霊○○よ。平安のうちに去り、すぐに妖精シビリアを円内に連れきたるべし。この書物に記されし呪文を七度読み上げるまえに連れきたるべし。わが命に従わざれば永遠の懲罰を覚悟すべし。わが意図を汲み、速やかに行き来たるべし。フィアット、フィアット、フィアット。アーメン。 妖精召喚 前出の記章を胸元に着用し、記された言葉 + Sorthie + Sorthia + Sorthios + を唱えるべし。続いて以下の呼び出しを行う。 われ汝を呼び出さん、シビリアよ、妖精の乙女よ。木星と金星の天使と記号の力により、また蒼穹に刻まれし印形により、また汝が心服したる妖精王と妖精女王の印によりて呼び出さん。われ汝を呼び出さん、シビリアよ、祝福されたる美しき乙女よ。主イエス・キリストの脇腹より流れ出し血の力によりて、イエスの死の際の天地晦冥によりて、イエスの母マリアの御名によりて、その名を唱えてはならぬテトラグラマトンの御力によりて汝を呼び出さん。わが前の円内に純白の輝く衣をまとう美しき女性の姿にて現れよ。速やかに現れ、わが意にかなうべし。われは汝をわが祝福された乙女となし、汝と肉の交わりをなさんと欲する者なり。されば急ぎ来たりて現れるべし。 シビリアが来なければ来るまで呼び出しを続けよ。シビリアが現れたなら、釣り香炉を持ち、乳香にて薫煙せよ。しかる後、以下の文言にて拘束せよ。 われ汝を呼び出さん、シビリアよ。父なる神、子なるイエス、神なる聖霊の三位一体、さらに母なるマリアの御名と御力によりて、また天上の諸天使と諸聖人の御名によりてわれ汝に命ず。われが命ずるまで姿を変えるなかれ、円より去るなかれ。汝が心服したる妖精王と妖精女王の印によりて呼び出さん。われ汝を呼び出さん、シビリアよ、祝福されたる美しき乙女よ。主イエス・キリストの脇腹より流れ出し血の力によりて、イエスの死の際の天地晦冥によりて、イエスの母マリアの御名によりて、その名を唱えてはならぬテトラグラマトンの御力によりて汝に命ず。わが意図を汲み、わが命に服すべし。フィアット、フィアット、フィアット、アーメン。 |
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解説 レジナルド・スコットの『魔法暴露』(1584)に紹介されている手の込んだ妖精召喚である。まず死刑囚と交渉して死後に術者のもとを訪問することを約束させ、その死霊を通じて妖精乙女シビリアを呼び寄せるという算段である。 スコットは魔術師たちの手口を暴くという観点で記述しており、いわく「七十二の悪魔を自在に呼び出せると豪語する魔術師が、ぱっとしない惨めな人生を送ったあげくに絞首台送りになる」と嘲笑する。ここに紹介されるシビリア召喚も、「最近考案された新たな術であり、馬鹿が一歩一歩だまされていく様子を描いている」とする。 全体、この妖精召喚は手の込んだ売春ないし美人局ではないかと思われる。 |