奥義書の正体 taken from Reginald Scot’s The Discoverie of
Wichcraft, Booke XV. Chap.31 |
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解説 : スコットが見聞した当時の魔術書およびコンジャラ事情である。推察するに当時のコンジャラたちは自称「ローマの大司祭や司教」なのであり、持ち歩く奥義書も「アダムの書」とか「エノクの書」とか、それ風のタイトルとなっていた。さまざまな術に精通していると豪語し、その術はヨセフからモーゼといった系譜で伝えられたと称していたのであろう。コンジャラたちは往々にして神父くずれや学生くずれであったから、この種の起源偽装およびそれ風の箔つけはお手のものであった。 この当時の魔術書はタイトルこそ「アダムの書」、「ソロモンの書」といろいろあるが、内容はほぼ同一である。ここにも名前が出ているホノリウスに関しては古文書保管庫にあるファイルを参照されたし。 ちなみにこれが占星術師や暦販売業者にかかると「ダニエルの書」の登場となる。 スコットの筆致は軽妙であり、矛先は魔法使いからカトリック教会にまで向けられる。しかしそこで行われる批判はすべてそのまま英国国教会にも応用できるものであり、はっきり口にこそ出さぬものの、魔法はおろか宗教全般をこけにしている。なればこそ敬虔なるスコットランド国王ジェイムズ六世はわざわざ『悪魔学』の序文にて英人スコットを名指しで非難したのである。 |