Fludd, Robert
ロバート・フラッド
(1574-1637)


☆ 英国の薔薇十字研究者、錬金術師。その著作の図版が様々な書物に転載されているので有名。

1574年、ケントにて出生。17歳でオクスフォードに入学し、5年で卒業。以後、医学を志してヨーロッパに渡り、スペイン、イタリーと流れながら各地で貴族相手に学問を教えて食いつなぐ。
 1605年に帰国してオクスフォードから医学博士号を貰い、後に医学部のフェローとなっている。
 フラッドの隠秘学に対する興味は音楽から始まり、これがピタゴラスの音楽理論から占星術に発展したものらしく、ヨーロッパ遍歴時代にはパラケルススの著作に接して錬金術にも関心を寄せるようになった。正統医学と隠秘学の結合というのはこの時代には珍しくなく、むしろ薔薇十字の王道だったといえよう。
 やがてロンドンに出て来て開業、有能な医師として評判を博す。そうこうする内に大陸のほうで薔薇十字運動が流行し始め、フラッドも夢中になっている。彼は薔薇十字思想に大いに共鳴して、各種の論文を発表しては薔薇十字団を擁護するようになり、世間からは本物の薔薇十字団員と見なされるようになってしまった。
 ともあれ、フラッドは英国に於ける薔薇十字派の最初の学者として活躍し、1637年に畳の上で死去している。

 現代の魔術界に於いては、フラッドは「昔の偉い人」程度にしか思われていないが、思想史のほうでは大変な大立者である。

主要著作 Tractatus Apologeticus integritatem Societatis de Rusae Cruce defendans, Leyden, 1617.
Veritatis Prosceninum, Frankfort, 1621.
Monochordum Mundi Syhiphoniacum, Frankfort, 1622
参考文献


目次に戻る