Ficino, Marsilio マルシリオ・フィチーノ (1433-1499) ☆ 15世紀イタリーの哲学者。ルネサンスの中心人物にして、ネオ・プラトニック魔術の復興者。後発の研究者に多大な影響を与える。 フィレンツエの医師の伜として出生。学業優秀で、パドュア大学に学ぶなどして名前を上げている。後にメディチ家のお抱え学者となり、いわゆる「ヘルメス文書」を翻訳し、またプラトンを完訳して一生を送っている。 フィチーノの魔術理論で一番面白いのは独特の占星術的音楽論である。人間を「霊・魂・肉体」の三要素から構成されているとみなし、感覚全般を司る「霊」(spirit: フィチーノに於いては「気」、或はオーラと言い換えても構わない)がもっとも星の影響を受けやすいと仮定する。人間の気分や健康は星の影響によることろ大であるから、星の悪影響を補正すればより爽快かつ健康に生活出来るはずであり、人為的補正手段として様々な方法が考えられるが、フィチーノは音楽を用いるというのである。 例えば、土星の悪影響によって憂鬱な気分になったなら、それを補正するために明るい太陽の影響を「霊」に及ぼすべく、周囲にあらゆる太陽的な事物(花、絵画、装飾品、etc) を集めて太陽の歌を歌うわけである。この発想は「大宇宙小宇宙相互対応論」に基づく儀式魔術にきわめて近いものといえよう。 フィチーノ自身もこの種の歌をいつも歌っていたといわれており、リュートの伴奏で歌うような語るようなものだったという。 |
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主要著作 | De Triplici Vita, Florence, 1489.: Three Books of Life, Eng.tr.Kaske & Clark, Medieval and Renaissance Text and Studies, 2002. Platonic Theology 2vols, Eng.tr.Michael B.Allen, Harvard University Press, Cambridge, Mass., 2001. The Letters of Marsilo Ficino, Schocken, New York, 1987. |
参考文献 | Walker, D.P.: Spiritual and Demonic Magic, Warburg Institute, London, 1958.: Klaus Reprint, Nendeln, Liechtenstein, 1969. : University of Notre Dame Press, London, 1975. |
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