Kelly, Edward
(alias, Edward Talbot)
エドワード・ケリー
別名 エドワード・タルボット
(1555-1595)


☆ ジョン・ディーの水晶球観照人にして当時の典型的な「遍歴学生」1。

 1582年3月8日、タルボットと名乗ってディーの屋敷に現れ、水晶球観照人として雇われるまでの経歴はほとんど不明。オクスフォード大学を放校処分になってから、いかさま魔術で世の中を渡り歩き、すでに偽金作りの前科持ちで、罰として両耳を切断されていたとの伝説がある。
 ディーとの霊交渉実験を5年間続け、ある程度の霊能力を示しているが、人の良い老学者を再三再四騙していたことも確実である。ディーとケリーは長期間ヨーロッパを妻同伴で旅行しており、特にボヘミアによく滞在している。1587年5月、この地に於いて、ケリーはディーに「妻を共有せよ」という天使のお告げを伝えて、夫婦交換を実行、これが原因でディーと別離している。

 その後、ケリーはプラハのルドルフ皇帝の宮殿に居残り、1595年に死去。一説ではいんちき錬金術がばれて逃走中、塔から転落死したという。

1. 当時のヨーロッパに於ける放浪者の分類のひとつ。乞食とペテン師の中間に位置し、どこぞで習い覚えたあやしげな学問を武器に無知蒙昧な輩から金品を詐取して、すぐ遁走する連中である。

主要著作 The Alchemical Writings of Edward Kelly Translated from the Hamburg Edition of 1676 and edited with a Biographical Preface, James Elliot and Co., London, 1893.

参考文献 French, Peter J.: John Dee: The World of Elizabethan Magus RKP, London, 1972.
Laycock, Donald C.: The Complete Enochian Dictionary, Askin, London, 1978.
Shumaker, Wayne: Renaissance Curiosa: John Dee's Conversation with Angels, Medieval and Renaissance Studies, New York, 1982.
Sherman, William H.: John Dee: The Politics of Reading and Writing in the English Renaissance, University of Massachusetts Press, 1997.
Wooley, Benjamin: The Queen's Conjurer: The Science and Magic of Dr John Dee, Advisor to Queen Elizabeth, Henry Holt & Co., New York, 2001.
Gyorgy, E. Szonyi: John Dee's Occultism - Magical Exaltation Through Powerful Signs, Suny, 2004.



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