アルカナVIII 文字 Heletha (H) -- 数字 8 テミス : 均衡 H−8は神界にあっては絶対の正義をあらわす。知識界にあっては牽引と反発をあらわす。物理界にあっては相対的かつ誤謬ある狭い正義すなわち人間の正義をあらわす。 アルカナVIIIは槍の穂先をつけた冠をかぶって座す女性の姿であらわされる。右手に切っ先を天に向けた剣を持ち、左手には天秤を持つ。因果の天秤と応報の剣という古代からの正義の象徴である。正義は神より発するものであり、権利と義務のあいだの秩序と均衡を回復する安定作用である。この場の剣は義人に対する保護の象徴であり、罪人に対する警告である。《正義》の両眼は布帯によって隠されている。人の世の因習など勘定に入れずに計量し、断罪することを示している。 大地の息子よ、心に刻むがよい。勝利をおさめ、障害を克服することは人間の責務の一部でしかない。そなたが責務の完遂を望むのであれば、そなたが発動させた諸力のあいだに完全なる均衡を確立せねばならぬ。すべての活動は反作用を生むのであり、《意志》はまえもって反作用の猛攻を予想する必要がある。未来はすべて善と悪の均衡にかかっている。均衡を見出せぬ《精神》は蝕の時の太陽に似たり。 ‐‐ ポール・クリスチャン 『魔術の歴史と実践』(1871) |
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参考
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解説 : 正義の札は伝統的テミス像そのままのため、これといったヴァリエーションは見られない。目立った差異としては、目隠しの有無くらいであろう。そもそもタロットの正義はヴィスコンティ・スフォルザ版あたりから目隠しがなく、ゆえに原型はテミスではなく大天使ミカエルであるという説も根強い。 |