アルカナIV

文字 Dinain (D) -- 数字 4

立方石 : 実現


 D−4は神界にあっては、絶対的存在に内包される美徳の恒久的かつ階層的実現を表す。知識界にあっては、霊の四重の努力すなわち肯定、否定、討論、解決により、不確定存在の観念を現実化することを表す。物理界にあっては、真理の知識、正義への愛、意思の強さ、器官の作用による活動の実現を表す。

 アルカナIVは王冠兜をいただく男性の姿で表される。かれは立方石に座す。右手にセプターを持ち、右足を曲げて左足に重ね、十字を形成する。立方石は完全なる固体の表象であり、人間的労働の達成を表す。王冠兜は力を凌ぐ剛毅の象徴である。この支配者はイシスのセプターを持つ。そして王座がわりとなっている石は征服された物質を表す。脚によって形成される十字は四元素を、さらには全方向へと拡張する人間の力を象徴する。

 大地の息子よ、心に刻むがよい。真理と正義の知識に支えられる堅固たる意思に太刀打ちできるものはない。正義と真理の知識を得ようと苦闘することは権利にあらず、義務なり。この闘争に勝利する人間は地上における任務を達成したにほかならぬ。大義に身を捧げて倒れる人間は不滅の生を得るであろう。アルカナIVがホロスコープ中に出現したなら、そなたの望みが実現するか否かは、そなたよりも強大なる存在にかかっていると思ってよい。その者を探し出せ。さればその者はそなたの補佐となるであろう。

‐‐ ポール・クリスチャン『魔術の歴史と実践』(1871)

参考


エリファス・レヴィ 「神聖文字、皇帝、統治者。その身体が正三角形を、その脚が十字を表す。すなわち賢者のアタノールの表象である」-- 『高等魔術の教理と儀式』 (1855)


パピュス 「横顔を見せて座す男性。右手に生産の象徴すなわち金星♀の象徴であるセプターを持つ。髭をたくわえ、12の突起を有する兜をかぶる。立方石に座す。石には鷲の紋章が刻んである。脚は十字に組まれ、胴体は三角形を形成する」 -- 『ボヘミアンのタロット』 (1889)


ウェストコット 「第四のタロット・トランプには戴冠した皇帝が玉座にもたれかかる姿が描かれる。右手に持つセプター、その先端はハスの花状になっている。現代のタロットでは玉座に黒鷲が描かれる。古いデザインでは皇帝の胴体が正三角形を表し、脚が十字に組まれている。全体の姿が錬金術師のアタノールを象徴する」 -- 『サンクタム・レグナム』 (1896)


ウェイト 「皇帝はセプターとしてクルクス・アンサータを持ち、左手には球を握る。かれは戴冠した君主であり、玉座から威風堂々と命令を下す。玉座の肘掛には羊の頭がついている。かれは執行にして実現、現世の力であり、当然現世の至高物をアトリビュートとしている。ときに立方石に座す姿で描かれるが、これは多少問題を混乱させる」 -- 『タロット図解』 (1911)


解説 : このあたりに来るとカバラ的解釈と照応関係がいささか齟齬をきたすようになる。たとえばパピュスは「ダレスは神聖文字では子宮の意味である」と記すが、それならば女帝のほうが照応物としてふさわしいであろう。



戻る