アルカナIII

文字 Gomor(G) -- 数字 3

イシス・ウラニア : 活動


 G−3は神界にあっては、永遠に活動する精神と絶対的叡智によってバランスを保つ《至高の力》を表す。知識界にあっては至高存在の普遍的豊饒を表す。物理界にあっては出産する自然、意思から発される活動の受精を表す。

 アルカナIIIは燃える太陽の中心に座す女性の姿で表される。彼女は十二星冠をかぶり、足元に月を置いている。彼女は普遍的豊饒の擬人化である。太陽は創造力の紋章である。十二星冠は十二という数字が象徴するように太陽が毎年運行する室を表す。この女性は天上のイシスすなわち《自然》であり、球体を戴くセプターを持つ。このセプターは彼女が出産・未産の事物におよぼす不断の影響力のしるしである。他方の手には鷲の印がある。これは霊が舞いあがる高みの印である。足元の月は物質の脆弱性および精神による物質の支配を示す。

 大地の息子よ、心に刻むがよい。真理を確証し、正義を欲するだけでは、いまだ真理と正義を創造する途上に過ぎぬということを。真理と正義を否定するは自らを破滅へと導くことなり。アルカナIIIがホロスコープ中に出現したなら、企画が成功すると思ってもよい。ただし、創造活動と魂の清廉を結びつけ、刻苦をして結実に至らしめる術を知っていればの話である。

‐‐ ポール・クリスチャン『魔術の歴史と実践』(1871)

参考


エリファス・レヴィ 「女帝、女性、有翼、戴冠、座姿、地球儀つきのセプターをかざす。彼女はギリシャ人のウェヌス・ウラニアであり、黙示録の“太陽を身にまとい、十二の星の冠をかぶり、足元に月を置く女”として表される。《三》の神秘的精髄。霊性、不滅、天の女王」 -- 『高等魔術の教理と儀式』 (1855)


パピュス 「この女性は有翼あるいは輝く太陽の中心に描かれる。右手に鷲を持つ。左手に持つセプターが占星術における金星記号を形成する。セプターを左手に持つのは、生殖において《自然》すなわちウェヌス・ウラニアすなわち女性が発揮する受動的影響力を表すためである」 -- 『ボヘミアンのタロット』 (1889)


ウェストコット 「第三のタロット・トランプ《女帝》は玉座に座す女性を描いている。十二星冠をかぶり、ダイヤ型の紋章ないし球をとりつけたセプターを左手に持つ。この女性は翼があり、右手には黒鷲の紋章に飾られる盾を持つ。その姿はギリシャのアフロディテ・ウラニアであり、聖ヨハネのヴィジョンにある“太陽を身にまとい、十二の星の冠をかぶり、足元に月を置く”姿に照応する。」 -- 『サンクタム・レグナム』 (1896)


ウェイト 「堂々たる座姿にして豪奢な衣装をまとう、天と地の娘としての王族の装い。そのダイアデムは十二の星が房状になったもの。金星の象徴を刻む盾をかたわらに置く。彼女の前には穀物の畑が実り、背後には滝がある。彼女が持つセプターにはこの世界をあらわす球がとりつけられている。彼女は低位のエデンの園、地上の楽園、目に見える人の家によって象徴されるすべてである。」 -- 『タロット図解』 (1911)



解説 : 無論のこと、イシス・ウラニアといえば「黄金の夜明け」団の中核テンプルの名称である。レヴィとパピュスはウェヌス・ウラニアという表現を用い、ウェストコットはアフロディテ・ウラニア、ウェイトはウラニアという言葉を避けている。そもそもウェストコットが“イシス・ウラニア”なる名称をどこから採用したのか、確たる証拠はないものの、少なくともクリスチャンが時代的に先行していたという事実は確認できるのである。



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