アルカナXXI

文字 Thoth (T) -- 数字 400

術士の冠 : 報酬


 術士の至高のアルカナムは星を囲む黄金の薔薇の花輪としてあらわされる。花輪の四方には人間と牛と獅子と鷲の頭部が配置される。これこそは術士が最高の参入位階に達するときに自らを飾る紋章である。最高位階の術士の力は広大無辺であり、自らの知性と叡智の限界によってのみ規制される。

 大地の息子よ、心に刻むがよい。世の帝国は光の帝国に属するものである。神の深慮により、その玉座を得るものは聖なる意志を達成した者のみである。術士にとっての幸福は、善悪の知識の実の結実にある。されどその実を摘むことを許される者は欲望を捨て去った自制心の持ち主のみなのだ。

‐‐ ポール・クリスチャン 『魔術の歴史と実践』(1871)

参考


エリファス・レヴィ 「ケテル。四頭の神秘の獣に囲まれるカバラの冠。冠の中心に各々の手に棒を持つ“真理”」-- 『高等魔術の教理と儀式』 (1855)


パピュス 「裸体の女性像が各々の手に棒を持ち、脚を交差させて楕円の中央に立つ。カードの四隅には黙示録の四獣ないしスフィンクスの四形態すなわち人間、獅子、雄牛、鷲がいる」 -- 『ボヘミアンのタロット』 (1889)


ウェストコット 「最後のタロット・トランプは世界と称され、宙に舞う天使か人間の姿が描かれる。ほぼ全裸であり、各々の手に短い棒を持つ。この人物は男性というよりは女性である。周囲には葉で編んだ輪があり、輪の外側の四隅にはケルビムの四姿すなわち人間、獅子、鷲、雄牛が配置される」 -- 『サンクタム・レグナム』 (1896)


ウェイト 「ここに見る大アルカナの最終メッセージはデザインの点で不変、というか、変えようがないため、その深遠なる意味に関してはすでに部分的に述べられている。それは森羅万象としての宇宙の完成にして終結であり、宇宙の内奥にある秘密であり、神のなかに自己を理解する世界の歓喜である」 -- 『タロット図解』 (1911)


解説 : クリスチャンの「術士の冠」には具体的イラストが存在する。



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