アルカナXVIII 文字 Tsadi (TS) -- 数字 90 薄闇 : 欺瞞 TS−90は神界にあっては無限なるものの深淵をあらわす。知識界にあっては本能の力に身を委ねた霊を包む闇をあらわす。物理界にあっては欺瞞と隠れた敵をあらわす。 アルカナXVIIIは半分雲に覆い隠された月が薄闇のなかに野原を照らし出す姿であらわされる。不毛の荒野に伸びていく道があり、道の両側に二つの塔が立っている。ひとつの塔のまえに犬がしゃがみこむ。もう一方の塔のまえでは、犬が月に吠えている。両者のあいだにカニがいる。これらの塔は隠された危険を予見できない偽りの安全を象徴している。 大地の息子よ、心に刻むがよい。未知に立ち向かう者はだれであれ死と直面するものなり。片方の犬に象徴される敵意ある霊が待ち伏せをなす。他方の犬に象徴される卑屈な霊はいやしい追従をもって裏切りを隠蔽する。カニに象徴される怠惰な霊は惨事などつゆほども気にせずにただ通り過ぎる。目を見張れ、耳をすませ−−そして他者に決して真意を明かさぬ術を学ぶがよい。 ‐‐ ポール・クリスチャン 『魔術の歴史と実践』(1871) |
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参考
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解説 : 月のカードは解釈がむつかしい。月よりふりそそぐものが血の雨か夜露か、それも定かではないのである。それどころか、そもそも「降り注いでいる」かどうかを疑ってかかる必要があるだろう。伝統的マルセイユを見るかぎり、太陽のカードと月のカードでは雫の向きが逆である。重力的観点からいえば、月のカードは地上から雫を集めていると見るほうが正しい。この点に関してはウェイトの解釈が曖昧ながらも適切であろう。 月は地上から死者の魂を集める。太陽は地上へ新たな生命をもたらす。この組み合わせならすっきりしていてよろしい。 |