アルカナXVI

文字 Olelath (O) -- 数字 70

雷に撃たれる塔 : 破滅


 O−70は神界にあっては高慢に対する懲罰をあらわす。知識界にあっては霊が神の神秘を明らかにしようと試みてこうむる墜落をあらわす。物理界にあっては運命の反転をあらわす。

 アルカナXVIは雷に撃たれる塔の姿であらわされる。王冠をかぶる男とかぶらない男が胸壁の残骸とともに落下する。これは大小を問わずに破壊する自然力の象徴である。またこれは最終的に関係者全員に破滅をもたらす対抗心の紋章でもある。頓挫する計画、色あせる希望、流れた企画、潰えた野望、破滅的な死の紋章でもある。

 大地の息子よ、心に刻むがよい。不幸の試練も全能なる神の意志と諦観して受け入れるならば、それは定められた進歩のためのステップであり、無限の報酬を得られるものなり。苦難こそ物質のいましめからその身を解き放つ修行なり。不滅の衣をまとうことにほかならぬのだ。

‐‐ ポール・クリスチャン 『魔術の歴史と実践』(1871)

参考


エリファス・レヴィ 「雷に撃たれる塔、おそらくはバベルのそれ。二人の人物、まちがいなくニムロデとその偽預言者が廃墟の頂から落下する。一人の落下する姿がまさに文字アインをあらわしている」-- 『高等魔術の教理と儀式』 (1855)


パピュス 「胸壁を落雷で破壊される塔を描いている。冠をかぶる男とかぶらない男が石のかけらとともに落下していく。前者の姿勢が文字アインの姿を想起させる」 -- 『ボヘミアンのタロット』 (1889)


ウェストコット 「第16のタロット・トランプは大陸製のカードでは“神の家”と称される。わが国では一般に“バベルの塔”として知られる。雷に撃たれる塔をあらわしており、二人の人間がまっさかさまに頭から落ちている。両者はニムロデとその寵臣であるといわれている」 -- 『サンクタム・レグナム』 (1896)


ウェイト 「このカードにつけれらるオカルト解釈は貧弱にしておおむね当惑である。この札があらゆる面で廃墟を表すなどと記述しても、それは見ればわかることであるから、怠慢というものであろう。初めて物質的建造物に言及する札であるとする意見もあるが、すでに見てきた3枚の札にある柱と塔と、どれほど変わりがあるというのか……」 -- 『タロット図解』 (1911)


解説 : ウェイトはさらにパピュスに異を唱え、クリスチャンをけなしつつ、くだくだと記述を続ける。たいして実りのある議論ではない。ニムロデとは創世記10章に登場する「世の権力者となった最初の人」であり、その国は「最初シナルの地にあるバベル、エレク、アカデ、カルネであった」。ゆえにバベルの塔から転落する王はニムロデと解釈されるのである。




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